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積水ハウスが63億円被害の「地面師」、弁護士などが協力の例も

「取引に関係する人間のうち、一人でも仲間が多いほうが成功の可能性が高まります。時には売買する物件の近隣住人まで協力者にします。逆に言うと、地面師が絡む事件については、関係者のうちどこまでが地面師グループで、どこからが被害者かが分かりにくい。それが犯行の実態把握を難しくしている」

 不動産売買の契約において必要な土地の権利書、印鑑証明書、身分証明書、実印の4点もチームで偽造を請け負う。司法書士の長田氏が続ける。

「海外からの不法入国者や書類づくりに携わる技術者などを雇って偽造屋が形成され、本物そっくりの証明書を2万~3万円で入手できる。日本の法律は刑罰が軽いので、彼らにとっては捕まるリスクより得られる収入のメリットが上回るそうです」

 実印の偽造も、地面師のネットワークがあれば可能となる。

「グループの中には元弁護士や元司法書士、さらには刑務所で知り合う人脈などもあり、非合法な情報も入手しやすい。なりすます人物の実印の印影さえ手に入れば、3Dプリンターなどのデジタル機器で複製できる。見破るのは、われわれ司法書士でも難しい」(同前)

取材・文■伊藤博敏(ジャーナリスト)と本誌取材班

※週刊ポスト2017年9月8日号

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