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年金控除縮小へ 高齢者には所得税・住民税の大増税

 大手機械メーカーを部長職で退職したAさん(69)がこんな不安を口にする。

「現役時代は年収1000万円を超えていましたから、年金は多い方だと思う。それでも厚生年金が月額25万円、企業年金を合わせても30万円です。外食は月に1回、夫婦で年1回温泉旅行をするくらいで、生活はつましいもの。高額な年金と見なされて控除がなくなれば、年30万円ほどの負担増になるはずです。冗談じゃないですよ」

 総務省の家計調査でも、65歳以上の高齢者世帯(2人以上)の生活費は月平均28万円。厚労省が年金の標準モデルにしている夫婦(年金月額約22万円)の世帯は毎月貯金を5万円ずつ取り崩して生活費にあてている実態がある。

 年金増税のターゲットはまさにそうした“ごく標準的な年金受給者たち”なのだ。社会保険労務士の北村庄吾氏が指摘する。

「宮沢氏は高額な年金をもらっている人から税金を取るというが、それなら年金による所得に応じて税率を上げるという話になるはず。年金が少ない人に恩恵のある控除を縮小するというのは、明らかに目的と政策が矛盾する。年金生活者に幅広く増税の網をかけようとする狙いとしか考えられません」

※週刊ポスト2017年9月29日号

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