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年金控除縮小へ 高齢者には所得税・住民税の大増税

 年金制度に詳しい“年金博士”こと社会保険労務士の北村庄吾氏が語る。

「小泉内閣の年金改革以来、政府は厚生年金と国民年金の保険料を上げ続け、受給額は減らしてきた。それが一巡する。しかし、100年安心とは真っ赤な嘘で、年金財政は今も火の車。じゃあ今度はどこから取ろうかと悪知恵を絞った。

 保険料率をアップしても、現役サラリーマンの給料が上がっていないから保険料収入は伸びない。かといって、年金をもっと減らすと言えば高齢者の不満が高まる。そこで“これは年金改革ではなく、高額所得者の負担を重くする税制改正です”と言って、年金から税金の形で取る。

 年金振込通知書に記される受給金額は変わらないように見えるが、源泉徴収される税金が増えるから実質的には年金減額と同じです。それでも、他に年金から天引きされている健康保険料や介護保険料も毎年上がっているから高齢者にはわかりにくい。非常に悪質なやり方です」

“ごく標準的な年金受給者たち”が年金増税の標的に

“高額な年金をもらっている人”が対象という言葉に騙されてはいけない。そもそも日本に「高額年金所得者」などほとんどいないのだ。

 かつて日銀職員から総裁にのぼりつめた福井俊彦氏が厚生年金と日銀独自の企業年金を合わせて年間約633万円(月額50万円以上)を受給していたことを本誌・週刊ポストはスクープしたが、そんな特権年金をもらえるのは、それこそ日銀OBや、国会議員年金廃止前に受給資格を得た元議員など、ほんの一握りだ。そんなごく限られた人々を対象にした税制改正などあり得ない。

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