キャリア

還暦記者が客室清掃バイトに挑戦するも初日で敗北感味わう

気持ちは焦る、体はバラバラ

 いよいよ初日。宿泊客が出た後の部屋に案内され、客室清掃の責任者のWさん(60代・男性)から、仕事の手順を教わった。

「経験者ですよね? だったらだいたいわかると思いますが、最初は見ててください」

 Wさんは、機械のようにカチカチと体を動かし、瞬く間に“客室”に仕上げていく。

 それにしても何だよ、これは! 床はシーツとかけ布団の海で、裸のベッドが部屋の真ん中で斜め。シャンプー、コンディショナー、ボディソープは、客が中身を持ち帰ったのか、ほぼカラで、床はこぼれたシャンプーでベタベタ…。

「部屋はみんな、こんな感じですか?」と聞くと、「まだいい方ですね」だって。

 さっき、正面玄関前からバスに乗り込むアジア系の団体を見かけたけど、まさか…。

 初日の私にノルマはなく、「この列の部屋をできる範囲で」と言われている。

「じゃ、やってみてください」
「ハイッ」

 ひとりになった私は、支給されたゴム手袋をして湯船を洗い、トイレを丸洗いして、ベッドにシーツをかけ、備品を整え、最後に掃除機。

「低い位置の作業をするとき、腰を折り曲げてすると腰痛の原因になります。こうして、必ず膝を折って」

 Wさんは見本を見せてくれたけど、この膝の曲げ伸ばしがなかなかどうして大変なんだって。2部屋目のベッドメイキングのときに、膝を床につき、シーツの四隅をマットレスの下に押し込んだら、「よいしょ!」とかけ声をかけても、すぐに立ち上がれないの。

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