キャリア

「年齢不問の求人」を謳っても65歳以上の実際の雇用は13.5%に過ぎない

企業の本音

 この現実の裏側には企業の「本音」があるとハローワーク関係者が明かす。

「年齢に関わりなく採用機会を均等にするよう求める『雇用対策法10条』があるので表向き高齢者の募集は増えているが、本気で65歳以上を採用する企業は非常に少なく、応募があっても書類選考で切り捨てる。多くの企業はハナから65歳以上を相手にしていないということです」

 実際に65歳以上が採用されるのは、ビルメンテナンスや警備、清掃、ケアスタッフなど。就職できても高齢者の報酬は最低賃金に近く、東京都で時給958円、地域によっては時給700円台前半が目安となる。

 これではわずかしか老後の足しにならないうえ、慣れない肉体労働で仕事のやりがいを見出すのが難しく、健康を害する怖れもある。求職活動中の70歳元営業マンがつぶやく。

「面接に行ってもハローワークで見た条件と違う会社ばかり。『年齢不問』とは“できるだけ若い人を取りたい”という意味だとわかった。仕事のアテがなく貯金も少なく、これで100歳まで人生が続いたら私は一体どうなるのでしょうか……」

 75歳まで働けることはたしかに理想ではあるが、まるで現実味のない話でもある。

 こうした事態を避けるには、定年前の現役時代にきちんと老後のライフプランを立てて備えておく必要がある。何らかの形で働き続けるにしても「働き損」になっていないかを確認する必要もある。“働けば働くほど豊かになれる”というセオリーは、人生100年時代には必ずしも当てはまらない。

※週刊ポスト2018年6月1日号

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