中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

転職・起業しないのは「生ぬるい」会社人生なのか?

一つの会社に残り続けるという選択肢

 今回、私のところにも、かつての会社の先輩を送る会のお誘いが届きました。8月に定年を迎える博報堂PR戦略局のH氏のことです。8月末の某日に同氏の半端ない実績を称える会が開催されます。たかだか4年しか同社に所属せず、辞めてから17年も経つのにこうしてH氏を送る会へのお誘いが来るのは本当にありがたいことです。

「転職経験ない人=社会の荒波を知らない人」理論でいえば、H氏はまったくそんなことはない。どんだけ色々な修羅場をくぐってきた人か、というのは脇で彼を見ていれば分かります。つーか、博報堂なんて、転職経験者が大量にいる会社であり、その人達を「社会の荒波をくぐった優秀な人」と捉えて、プロパーの社員と区別するのもおかしい。社内ではそんなアホな評価はないと思います。

 もちろん、仕事をしない給料泥棒的なおじさんは時々大企業では存在し、そうした人は既得権をぬくぬくと享受しているだけなのはその通りでしょう。しかし結局転職経験者だろうが未経験者だろうが、同じ会社で働いているわけですから、そこに「荒波度」的などうでもいい区別的指標を持ち出すのは意味がない。

 一つの会社で働き続けることについて揶揄したくなる気持ちも分かります。でも、自身の人生を合理的に判断した結果、「転職しない」ことが良いと判断したわけで、こうした人生を選んだ人を一段下の「生ぬるい」人々だとあげつらうことには抵抗があります。

 今回H氏の会を企画した人々は私の2期、3期、7期前入社の先輩方です(1995年、1994年、1991年)。1981年入社のH氏の破天荒ぶりに振り回されつつも、こうして会を開催し、社内外の幅広い人を呼んで同氏を称える。これって一つの会社に残り続けた人々だからできる素晴らしいことなんじゃないかな、と思います。

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