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健康保険組合 7年後には4分の1が解散危機を迎える

健康保険組合が続々と解散危機に

 全国の生協の従業員とその家族、約16万4000人が加入する「日生協健保」は、2018年度末をもって解散することが決まっている。同健保の神田弘二・常務理事兼事務長は、苦しい財政状況のなか、解散せざるを得なかったと明かす。

「全国の高齢者の医療費を支えるための拠出金は増え続け、組合加入者の平均年齢が上がることでその医療費の支出も増えていく。保険料率を少しずつ上げたり、人間ドックの際の自己負担を引き上げたりして財政の改善に努めてきたが、保険料率が10.7%まで上がってしまったことから、解散を議決しました」

 健保組合が解散すると、加入者は国からの補助金が拠出されている「全国健康保険協会(協会けんぽ)」に移る。協会けんぽの保険料率の全国平均は10%で、それよりも高い保険料率を設定しなくてはならなくなったことが、日生協健保の解散の“引き金”となった。

 健保組合は全国に1394あり、加入者は約2900万人にのぼる。だが、ここにきて日生協健保以外にも、解散が相次いでいる。加入者約50万人の「人材派遣健保」も2018年度末で解散することが決定した。

 背景にあるのは財政難だ2017年度決算で赤字となった健保組合の割合は40%超に達する見通しだ。全国の健保組合が会員となって構成する健保連(健康保険組合連合会)の田河慶太・理事はこういう。

「高齢者医療への拠出金の支出増だけでなく、収入となる保険料のベースとなる加入者の給与(標準報酬月額)が伸びていないことも大きい。健保組合の財政は軒並み厳しくなっている」

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