閉じる ×
ビジネス

政府が検討する「水道事業」民営化の不安要素

水道法改正案は衆院本会議でわずか7時間の審議で可決された(法案成立までは至らず。写真:時事通信フォト)

 福岡県のある町では水道料金が月額4370円(2015年)から2万2239円(2040年)になる──というショッキングなデータが公表されている。これは「人口減少時代の水道料金はどうなるのか?(改訂版)」という資料の一部だ(EY新日本有限責任監査法人 水の安全保障戦略機構事務局による)。

 設備の老朽化と人口減少に伴い、日本の水道インフラを巡る状況はかなり深刻な状況にあり、対応によっては早晩破綻することを政府も重々認識している。

 実際、水道料金は年々上がり続け、日本水道協会によると、料金値上げに踏み切った自治体はこの1年で47にのぼる。また、自治体ごとの料金格差も大きく、月額約6000円、年額にして7万2000円近くの金額差が生じている。

 データによると、2040年までに料金値上げが必要な自治体は全体の90%。そして、それらのうち、約4割は30%以上の値上げを余儀なくされる。自治体間の料金格差はさらに広がり、高額地域と少額地域の格差は19.6倍にまで広がる、とされている。

 こうしたデータは政府も当然意識し、値上げが社会に及ぼす影響についておおいに憂慮している。そこで打ち出されたのが「民営化」だ。

 2013年4月に麻生太郎副総理が「世界中ほとんどの国で民間会社が水道事業を運営しているが、日本では国営もしくは市営・町営である。これらを民営化したい」という主旨の発言をしている。そして、実は、7月下旬に閉幕した国会には既に「水道法改正案」が提出され、審議されていた。

関連キーワード

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。