田代尚機のチャイナ・リサーチ

海外旅行先で初のトップに 中国人が日本旅行を好む5つの理由

(2)治安が良く、どこでも綺麗で、清潔、静かである
 日本の治安が良いことは国際的に広く知られている。PM2.5、水質汚染が深刻な問題となっている中国だが、日本の大気は綺麗であり、水質も良い。さらに、日本の景勝地、街道はどこも清潔で静かである。人々が歩く速度もゆったりとしている。この点については、日本人が中国を旅行して感じることの逆のことを中国人が日本に旅行した時に感じるということである。

(3)中国で評価の高い日本製品が安く買える
 日本の家電、化粧品、ベビー用品、日用雑貨、菓子類に至るまで、中国で高い評価を得ている日本製品は多い。そうした製品が日本では安く買えることが大きな魅力となっている。これがそのまま、インバウンド消費につながっている。

(4)古い伝統文化と国際的大都市の共存
 京都は1000年前の長安を模して都市づくりが行われたと言われており、中国人にとっては既に消失してしまった古代の中国都市を見るような懐かしさを覚えるようだ。一方で東京は、世界のブランド店が軒を連ねる銀座から、江戸時代から続く下町の雰囲気を今に伝える浅草、中国でも人気の高いサブカルチャー分野の中心地である秋葉原まで、様々な側面を持っている。中国人から見ても、日本の観光資源は、都市にしても、景勝地にしても、十分に厚みがあるようだ。

(5)サービスの質が高い
 高級百貨店の接客サービス、交通機関の正確さ、便数の多さ、使い勝手の良さに対する評価は高い。

 こうして要因をまとめてみると、日本への旅行者増加は、一過性のブームではなさそうだ。日本の優位性は他の旅行先と比べると明らかである。2020年の東京オリンピックを目標に日本全体でホテルの量・質を高めたり、観光資源の発掘、質の向上を進めたり、政治的に日中関係を改善させたりすることで、日本旅行がブームではなく長期的なトレンドとして定着する可能性がありそうだ。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。メルマガ「田代尚機のマスコミが伝えない中国経済、中国株」(https://foomii.com/00126/)、ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(http://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も展開中。

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