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ビル・ゲイツも絶賛 『ホモ・デウス』が描く「人類の未来予想図」とは

俺って「無用者階級」?

【ポイント1】人類はこれから「神」になる

「恐ろしい本です」と指摘するのは、教育改革実践家の藤原和博氏だ。

「かつて、大勢の人が亡くなる“人類の脅威”といえば飢餓、疫病、戦争の3つでした。ハラリ氏は、それらの脅威を人類はすでにほぼ克服していて、これからさらなる進化を遂げるとしています。そのことを“人類は神へとアップグレードする”と表現しています」

 表題でもある『ホモ・デウス』とは、ラテン語で「神の人」という意味だ。これまでも科学技術は進歩を遂げてきたが、今後、人類は“神にだけ許されていた領域”に踏み込んでいくとハラリ氏はみている。

 同書では様々な事例が紹介されているが、たとえば米軍は、人の感情を制御する「チップ」を脳に埋め込む実験を始めている。適切な刺激を与えることで、心的外傷後ストレス症候群(PTSD)に苦しむ兵士の治療に応用するのが目的だ。また、電極が備わった特別なヘルメットを通じて兵士の集中力を研ぎ澄ませ、作戦の遂行能力を向上させる研究もあるという。

 人の感情や欲望、意思といったものまで、制御可能になる時代の到来が強調されているのだ。

【ポイント2】「神の人」と「無用者階級」に二分される

 ただハラリ氏は、恩恵を受けられるのは、〈少数のアップグレードされた超人エリート層〉であるとする。そして、それ以外に〈大量の無用な人間〉が残されるとも論じている。

 これまでは戦争が起きれば「兵隊」が必要だったし、経済を回すためには「サラリーマン」がいなくてはならなかった。だから国の指導者も“その他大勢”の声を無視できなかった。しかし、これからは違う。ドローンや精鋭サイバー部隊が戦争を即座に終わらせれば、「兵隊」はいらない。

『ホモ・デウス』は、「AIで消える仕事」が大量にあることも浮き彫りにする。銀行員、旅行業者、医師、弁護士、裁判官、刑事などは、高度なコンピュータの開発によって、次々と必要なくなると予想されている。

 しかも、他にする仕事もない。だからハラリ氏はそれを失業者ではなく、単に必要とされないだけの「無用者階級」と表現するのだ。

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