田代尚機のチャイナ・リサーチ

中国富裕層の資産が「自宅不動産」に偏っていることの意味

 アメリカ世帯の平均収入は1102万4000円であるのに対して、中国都市部トップ20%は360万円でしかない。また、現預金、株、投資目的の不動産などの資産をみると、アメリカは4472万円であるのに対して、中国は2552万円しかない。つまり、中国は自宅不動産による資産形成の割合が大きいということである。

 カバレッジが少し変わるが、都市部世帯全体でみた場合の全資産における不動産の割合は77.7%に達しており、アメリカの34.6%を大きく上回っている。一方で、金融資産は僅か11.8%しかない。たとえば、日本では、金融資産の割合は61.1%に達している。

 さらに、金融資産の内訳をみると、銀行預金が42.9%、保険が17.0%、理財商品が13.4%、貸出が10.3%であるのに対して、株式は8.1%に過ぎない。そのほか、現金は3.7%、ファンドは3.2%で、後は、債券、外貨、金、デリバティブなどがごくわずかある。

 こうしてみると、中国富裕層にとって、株式相場が多少変動しても、資産評価額に大した影響はない。一方、不動産価格の変動は極めて大きな影響を与える。当局は、不動産バブル発生を全力で止めようとしているが、決して価格を下落させようとしているわけではない。非常に慎重な対応を続けているが、このことからその理由がはっきりとわかる。

 中国本土株式市場について、一言加えるとすれば、もし、株価に上昇トレンドが出始め、投資家心理が改善すれば、大きな上昇トレンドが出る可能性はあるだろう。外部には巨額の銀行預金が眠っている。当局は景気対策のため、金融を緩め始めている。当局の管理次第では今後、大きな株価変動がみられるかもしれない。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。メルマガ「田代尚機のマスコミが伝えない中国経済、中国株」(https://foomii.com/00126/)、ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(http://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も展開中。

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