田代尚機のチャイナ・リサーチ

中国株が好調、当局のコントロールで長期上昇トレンド形成か

 この場外配資は2014年11月から2015年6月にかけての急騰と、その後の急落を招いた元凶であった。つまり、ここで野放しの場外配資を許せば、株価の急騰を生み、それは必ず急落となって帰ってくる。当局の市場管理はやや過剰に思うかもしれないが、そうした状況が背景にある。

 当局は資本市場を育成しようとしているが、それはNYダウ指数のように穏やかな上昇トレンドが長期にわたり続く相場形成が一つの目安となっている。

 米中貿易戦争により、国家がファンドの形を含め、企業に資金を供給することで発展を図るようなやり方は難しくなってきた。資本市場の発展を通じ、企業を育てるシステムをいち早く作り上げる必要がある。科創板の設立、上海ロンドンストックコネクトの開始、海外証券会社に対する資本規制の緩和など、今後、資本市場改革が進展するはずだ。

 株価の上昇が穏やかであればあるほど、上昇トレンドが長く続きやすい。当局の適切な市場管理が行われることを前提に、市場改革による外部からの資金流入と、5G開始後にはっきりとするだろうイノベーション国家建設戦略の成功によって、本土市場は長期の上昇トレンドが出る可能性は十分あるだろう。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。メルマガ「田代尚機のマスコミが伝えない中国経済、中国株」(https://foomii.com/00126/)、ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(http://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も展開中。

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