「年金受給開始年齢が70歳に引き上げられれば、国の年金支払額は大きく削減できる。それとセットで国民年金の加入期間延長を導入すれば国の負担はたいしたことがない。国は増え続ける高齢者に年金を払うために、加入期間延長で目先の保険料収入をできるだけ増やしたいのです」(同前)
年金制度は、現役世代が支払う保険料で年金受給世代への給付をまかなう世代間扶養の仕組みだ。有り体にいえば世代間の“ツケ回し”である。
現役世代に保険料をたんまり払わせれば、彼らが将来、受け取る年金額は増えて国の負担も重くなる。
だが、年金支給開始年齢を68歳、70歳へとどんどん引き上げれば、その世代がいざ年金をもらえるようになっても受給期間が短くなり、生涯の年金総額は減る。国は、保険料を取るだけ取って、年金を払わずに済む。
もちろん、国民にとっては保険料を多く払って年金を減らされる大改悪だ。
※週刊ポスト2019年5月3・10日号