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相続法改正 「配偶者の自宅贈与の権利」拡大も安易に飛びつくのはNG

 税理士でトラスティーズ・コンサルティングLLPの吉永誠さんが解説する。

「新制度を使う時に注意したいのが、妻の死後、子が妻の財産を相続する『2次相続』時の相続税です。山内さんの場合、自宅4000万円、預貯金2000万円を通常通り相続すると、相続税は60万円かかります。一方、新制度を活用した場合の相続税は0円。一見、後者がお得に見えますが、2次相続時の相続税は、通常相続の場合は0円のところ、新制度を活用した場合は80万円もかかってしまうのです(図参照)」

 問題はこれだけではない。

「新制度を使って1次相続時の相続税を0円にしたところで、別途贈与税がかかります。20年以上連れ添った夫婦間で自宅を贈与する場合、2000万円までなら非課税になる『おしどり贈与』が適用されますが、山内さんの場合、この特例を適用しても自宅資産は残り2000万円。これに対して695万円の贈与税が課されます」(吉永さん)

 新制度を利用していれば、山内さんは払わなくてよい税金を715万円も払わされるところだった。

「この制度は、自宅評価額が2110万円以下の人や、親子関係が悪化して遺産分割協議が進みそうにない人などの場合は、活用するとよいでしょう」(吉永さん)

※女性セブン2019年5月9・16日号

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