大前研一 「ビジネス新大陸」の歩き方

アベノミクスを牽引するはずの「未来投資会議」がお粗末な理由

「未来投資会議」では何が話し合われているのか(イラスト/井川泰年)

「未来投資会議」では何が話し合われているのか(イラスト/井川泰年)

 アベノミクス“3本の矢”の第3の矢を実現するために「未来投資会議」が開催されているが、世の中はさほど盛り上がっていない印象だ。こうした事態に陥っているのはなぜなのか、経営コンサルタントの大前研一氏が解説する。

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 安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」は、全く成果がないまま7年目に突入した。その中で政府が“3本の矢”の第3の矢「民間投資を喚起する成長戦略」を実現するための司令塔として開催しているのが「未来投資会議」だ。

 だが、マスコミも含めて世の中の盛り上がりはゼロである。たとえば、議題は4月が「地銀・乗合バス等の経営統合・共同経営」、5月が「全世代型社会保障における高齢者雇用促進及び中途採用・経験者採用促進」という“未来投資”とはかけ離れたもの。会議後の記者会見・質疑応答は4月が9分間、5月が7分間という短さで報道も少なく、なおざりの感は否めない。

 安倍政権は過去最大の101兆円を超える予算を組み、それを支えるために日本銀行が国債を買いまくって本来は“禁じ手”の「財政ファイナンス」を続けている。だが、それでやっているのは、成長につながるとは思えない無駄な政策ばかりである。つまり、未来への投資ではなく、未来からカネを借りてきて浪費しているだけなのだ。

 なぜ、こんなにお粗末な状況になっているのか? 原因は三つある。

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