ビジネス

トランプ大統領、日本の参院選後に為替圧力をかける目論見か

 そのため、週末の参院選の結果が政権与党の勝利となった場合は、為替レートに与える影響は、ニュートラル(=影響なし)ということ。政権与党が改選過半数(63議席)を割り込む場合はサプライズであり、その時には、マーケットは「ドル売り円買い」に動くだろう。

 ただし、参院選の結果がどうであろうとも、その影響は限定的で、驚くような値動きにはならない、とも考えている。過去のケースを思い起こしても、日本の選挙の結果が、外国為替市場に大きく影響を与えたことは、ほとんどないからだ。

 しかしながら、それでも参院選は、国内政治の材料(テーマ)であり、日本の株式市場は影響を受ける。常識的には、現政権が勝てば「株買い」であり、現政権が負ければ「株売り」に反応するだろう。

 そして、株式市場の反応が、外国為替市場に影響を与える可能性はあり得る。日本株が上昇する場合は、「ドル買い円売り」の材料になり、日本株が下落する場合は、「ドル売り円買い」の材料になる。

 ここであらためて一般論を述べておくが、日本の選挙(衆院選・参院選)は、基本的に、外国為替相場の材料にはならない。まして、東京都知事選挙や地方選挙は、全く外国為替相場の材料にならない。ただし、日本の選挙は日本株に影響を与えるので、間接的に、外国為替レートに影響を与える場合がある、ということだ。

 今回の参院選で、大方の予想通りに、政権与党が改選過半数を超えた場合は、トランプ大統領は、比較的に早い時期に日本に対しての貿易交渉を開始するだろう。トランプ大統領は約束通りに参院選が終わるのを待ったのだから、日本に対して強い要求をしてくるだろう、と予想する。

 今のところ為替レートに関しての要求は無い様子だが、今後のトランプ政権が為替レートにも圧力をかける可能性は十分あるのではないか。というのも、二国間の貿易交渉で、為替レートが全くテーマ(材料)にならないはずがないからだ。

 今の政権は、あえてそれを見ないようにしている(無視している)、あるいはあえて日本国民の目をそらそうとしているに過ぎない。参院選が終了してからのマーケット(外国為替市場)に注目すべきだろう。

(2019年07月18日東京時間14:00記述)

◆松田哲(まつだ・さとし):三菱信託銀行、フランス・パリバ銀行、クレディ・スイス銀行などを経て、オーストラリア・コモンウェルス銀行のチーフ・ディーラーとして活躍。現在は松田トラスト&インベストメント代表取締役として外国為替や投資全般のコンサルティング業務を行う。HPは「松田哲のFXディーラー物語」(http://matsudasatoshi.com/)。メールマガジン「松田哲の独断と偏見の為替相場」も発信中。

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。