キャリア

脱サラしてロックバーを開業した男性の「こんなはずじゃなかった」顛末

「客が週末とコンサートがある日に固まってしまったのです。音楽を聞きながら飲むため、ゆっくり飲める週末にしようと思う方が多かったのです。平日は客がゼロの日もあるのに週末はパンパンで、満員で断るようなこともありました。コンサートがある日も同様です。初めて来たお客さんを断れば、もう2度と来てもらえません。ビジネス用語でいう機会損失が酷かったです」

 ここから先は、悪循環としか言いようのない事態が続く。まずは、無理をしたツケがやって来た。

「少しでも売り上げを上げるために定休日を無くし、営業時間も伸ばしたところ、体調を崩してしばらく店を閉めました。すると『潰れたらしい』『夜逃げしたらしい』と噂が立ってしまいました」

 さらに“招かれざる客”も次々とやって来た。

「新規のお客様だと思って愛想よく対応していたらJASRACだったこともありましたし、ビデオやDVDを流すためにテレビを置いていたので、NHKの受信料も取りに来ました。テレビの配線は繋いでいないので、番組は見られないのに……」

 そして決定打となったのが病気だ。これによってMさんは、「店か命か?」の選択を迫られることになる。

「呼吸器系の病気を患い、医者から絶対禁煙を命じられました。私はヘビースモーカーではなかったので、すぐにタバコを止めましたが、店内を禁煙にしたら、いよいよ客が来なくなりました。ロックバーのお客さんは喫煙率が非常に高く、“タバコが吸えないロックバーなんてあり得ない”と、これまで支えてくれていた常連客もついに離れてしまいました」

 そこから先はあっという間だった。もともと「儲からなくていい。食べていけるだけ稼げれば十分」というスタンスで始めた仕事だったが、気付けば借金はかなりの額になり、ついに閉店。今はバイト生活をしている。同業者の中には1年足らずで店を畳んだケースもあるそうで、かなり難しい仕事なのは間違いないよう。Mさんは後輩へのアドバイスとして、「私はさっぱりダメでしたが、英語は絶対に話せたほうが良いですね。来店したミュージシャンと会話が盛り上がれば、SNSに投稿してくれて、宣伝になりますから」と、語っている。

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