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2035年の高齢者を取り巻く医療環境 入院拒否や終末期医療の危機も

2035年の医療環境はこんなに厳しくなる

2035年の医療環境はこんなに厳しくなる

 現在の高齢者よりもはるかに深刻な状況下に置かれるのが、「未来の高齢者」である。50代の現役サラリーマンが年金受給開始年齢を迎え、60代は後期高齢者となる2035年、取り巻く環境はどうなっているのか―─。

 内閣府「令和元年版高齢社会白書」によれば、総人口の減少と高齢者の増加によって日本の高齢化率は上昇を続け、16年後の2035年には32.8%に達する。国民の3人に1人が65歳以上になる計算だ。この頃には「住民の半数以上が65歳以上」という限界自治体が、132市町村に達するとの国立社会保障・人口問題研究所の推計もある。

 社会全体が現在よりさらに老いてゆくなか、高齢者を取り巻く環境はより厳しさを増し、現在の“当たり前”が存在しなくなるケースも出てくる。とりわけシニアと密接に関わる「医療」はどう変わっていくのか。

医者に看取ってもらえない

 年を重ねれば、医者にかかる機会が増える。だが2035年には「入院を断わられる」かもしれない。国際医療福祉大学などの試算では、高齢化の進行により2040年には首都圏などの大都市で17万人分の病床が不足するという。顕著なのは東京都と神奈川県で、各4万床以上が不足するという。

「慢性的にベッドが不足しているとなれば、当然入院を断わられる患者が増えると考えられます」(医療経済ジャーナリストの室井一辰氏)

 健康保険組合連合会によれば、国民医療費は2015~2025年度にかけて、約1.4倍(57.8兆円)にまで膨れ上がるという。2018年10月の財務省財政制度審議会財政制度等分科会では「入院医療費と病床数に強い相関が見られる」として病床数削減が提案されており、ベッド数はさらに減少する可能性が高い。

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