全国に5万5000店余り、スーパーの2万2000店の倍を行くコンビニエンスストアは、いまや高齢者の食をつなぐ重要拠点であり、心のオアシスでもある。
「高齢者こそどんどん利用して、進化の一翼を担ってほしい」と言うのは、長年コンビニの店長などを経験し、流通アナリストとして活躍する現在も、月1回は大手各社コンビニのレジに立つという渡辺広明さん。
渡辺さんは、ローソンで店長、スーパーバイザー、バイヤーとして22年間勤務後、化粧品会社などを経て、現在は(株)やらまいか~マーケティング代表を務めている。そんな渡辺さんにコンビニの最新情報と活用術を聞いた。
コンビニ食、おいしくて健康的なのが当たり前に
「いま、コンビニの食品は間違いなく“おいしく”、しかも“合理的で安く”なっています。“コンビニ弁当が不健康”というイメージもいまは昔。いまもそう信じる昭和生まれの人は、認識を変えるべきですね(笑い)」と言う渡辺さん。
昨年の消費増税に伴う軽減税率制度は、昨今の中食ブームに拍車をかけたという。
「外食店でもテイクアウトや宅配の導入が進み、いまや“中食戦争”ともいわれています。コンビニは生活者にとっていちばん身近な店。当然のことながらコンビニ業界も、おいしさや安全にこだわり、しのぎを削っています」
セブン-イレブンの『カラダへの想いこの手から』シリーズは、1日に必要な野菜の2分の1以上、またはレタス1個、おにぎりや弁当、スープ、鍋、総菜をラインアップ。
ファミリーマートの『お母さん食堂』シリーズは懐かしく温かい家庭料理の味わいを冷凍食品や総菜で再現。
ローソンの『まちかど厨房』シリーズは店内調理にこだわった弁当やサンドイッチで、売り上げを伸ばしている。
「これら以外も、オリジナル商品全般に味や品質が向上し、有名レストランなどとのコラボ企画なども目を引きます。タピオカや雑穀米など、食の流行りはすぐに商品に反映されるし、逆にバスチー(バスク風チーズケーキ)のようにコンビニ商品からブームが加速することもあります」