中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

テレビブロス、ありがとう! ハチャメチャな編集の日々と珍事件の数々

 しかし、K氏は、私のようなタイプの編集者を気に入ってくれたようで、私はフリーの編集者として「やれる時にやる」「編集会議に参加しないでいい」「他の編集者と喋らないでもいい」といった条件で仕事をするようになりました。

 4年間で恐らく70本ほどの特集(1本あたり4~16ページ)は作ったと思うのですが、一度として他の編集者と一緒に仕事をしたことがありません。K編集長から大まかな方針を伝えられ、あとは勝手にページを作り上げ、大日本印刷での「出張校正」で初めてK編集長には特集を見てもらえたのです。

 完全に放置プレイだったわけですが、K編集長が望む「アホかつシニカル路線」にしておけばいいのだろう、という考えだけで作り続けていました。私が作った特集は読者から寄せられるハガキで「面白かった記事」に選ばれることも多く、毎回ハガキが楽しみでした。

「くたばれ!!就職活動」特集の中の「くたばれタテマエ会社案内!」のページ

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 作った特集を列挙すると「動物キャラ」「北斗の拳」「カエル」「桃屋」「自衛隊」「六本木」「ポストペット」「アニメ『あたしンち』」「西部警察」「一人鍋」「京都」「梅雨」「就職活動」「ラーメン」「ラーメンズ」「仮面ライダー」「銀河鉄道999」「キン肉マン」「スーパーマリオ」「ドラえもん」「田宮二郎」「市川雷蔵」「ネコ」「イヌ」「ウルルン滞在記」「(スナック菓子の)カール」「魁!男塾」など、脈絡のないものばかりです。そして、特集を担当する都度、新しい知識を増やし、K編集長のオーダーに応え続けてきました。

 こうした鍛錬を繰り返した結果、「どんなお題が来ようがオレはいくらでも特集を作れる!」といった妙な自信もでき、その後「ネットニュースの編集者をやってください」と突然サイバーエージェントから依頼されたときも対応できました。そうした意味ではブロスで過ごした4年間が、編集者としての血となり肉となっていたのでしょう。

『魁!!クロマティ高校』の本当の主人公は?

 そして、当サイト(マネーポストWEB)の編集長・M氏とも、実はブロスを通じた思いがけない縁がありました。2005年7月9日号で私は『魁!!クロマティ高校』特集をしました。少年マガジンに連載されていた同作が実写映画化(『魁!!クロマティ高校 THE MOVIE』)されたのを記念した特集ですが、ここで私は徹底的にアホな特集にすべく、大学の後輩に苦行を課しました。

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