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年金改正の先に国民年金と厚生年金統合案 サラリーマンの年金減額必至

年金改正法案のその先に待ち受けるものは…(イメージ)

年金改正法案のその先に待ち受けるものは…(イメージ)

 厚生労働省は、新型コロナウイルスの感染が拡大していた今年3月に年金制度改正法案を国会に提出し、まともな議論がないまま5月12日には共産党を除く与野党の賛成で衆院を通過、今国会での成立が確実となった。年金博士こと社会保険労務士の北村庄吾氏は怒りを隠さない。

「今回の制度改正は年金のあり方を大転換する内容です。しかも、株価暴落で将来の年金給付のベースとなる積立金が毀損しているのだから、制度改正の前提が狂ってしまった。コロナのドサクサでまともに議論されないまま場当たり的に制度改正だけ行なわれようとしている」

 年金改正法案は具体的には、【1】パートなど短時間労働者の厚生年金の適用拡大、【2】在職老齢年金の支給停止基準の緩和、【3】年金繰り下げの年齢上限を75歳に引き上げ──の3つの柱が盛り込まれている。

 この年金制度改正の先には、サラリーマンにとってもっと厳しい改革が待ち受けている。国民年金と厚生年金の積立金の統合だ。

 パートや自営業者が加入する国民年金はサラリーマンの厚生年金より財政状況が厳しく、積立金も極めて少ない。厚生年金の積立金が約158兆円に対して、国民年金の積立金は約9兆円(2018年度末)しかなかった。そこにコロナ危機と株価大暴落が追い打ちをかけた。

 国民の多くが休職や自宅待機に追い込まれ、欧米のように失業者が更に増えていくことが予想されている。年金の支え手の収入が減り、加えてコロナ対策の年金保険料の支払猶予の特例で年金財政がいよいよ厳しくなるのは間違いない。

 このままでは国民年金の積立金が先に尽きて給付水準を大きく引き下げなければ維持できなくなるが、年金を減らせば生活保護に頼らざるを得ない人が増えてしまう。そうなると国は税金を使わなければならない。

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