中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

団塊ジュニアの大学時代あるある 飲み会の待ち合わせに誰か遅れると…

【通信編】

・携帯電話がない時代。実家暮らしの人の場合、恋人との電話は親に聞かれぬよう電話ボックスへ。夏は蚊に刺されながら、身体をかきむしりながら愛を囁き合った。冬は風は回避できるため、電話ボックスが重宝された。
・しかし、電話代(テレホンカード代)がキツく、偽造テレホンカードを買う者が続出した。105度(1000円分)のカード11枚が1000円で売られていた(もちろん違法)。
・NTTは偽造カードを吸い込んだり、警告音が鳴るタイプの公衆電話を開発、対策に乗り出し、学生の間では「あそこはまだ旧式だから使えるぞ」などと情報収集をしていた。
・LINEグループなんて当然ないため、ゼミやサークルの連絡は電話の連絡網で順次繋いでいく形式だった。
・1994年頃、大学から付与されたメールアドレスを使っている人間は学内では少なく、他大の知り合いと少しだけメールする程度だった。
・メールを使っている人間は「オタク」と扱われていた。

【恋愛編】

・クリスマスイブは恋人と過ごさなくてはいけない雰囲気があり、恋人がいない人間は「負け組」だった。
・12月に入ると慌てて恋人を作ろうと動き出していた。
・デートの待ち合わせがうまくいかず、それが理由で関係性が発展しないことも。たとえば「新丸子駅」と「下丸子駅」を間違えたり、「16時」を「午後6時」と誤解するなど。
・まず、「無事会えた」というだけで第一関門クリアでホッとしたもの。

【就職活動編】

・就職活動の必需品は「留守番電話」と「キャッチホン」だった。
・就職ナビサイトはなく、リクルート等から届く各社の紹介冊子についた資料請求ハガキに記入し、会社説明会の予約をした。
・なおこのハガキは、人気企業の場合、切手を貼らなくてはいけないことも多かったが、それ以外の企業の多くは料金後納郵便のため無料で資料請求ができた。
・男子学生には届くこの冊子、女子学生には届かないことも多く、知り合いの男子学生からいらない分のハガキをもらい、資料請求をした。

 ……とまあ、今考えると実に非合理的なものが並ぶわけで、とにかくインターネットの発展が大学生の生活を大幅に快適なものにしたわけです。なにせ、もしインターネットがなかったら、今のオンライン講義だってできないわけですから。とはいっても、早く対面で講義に参加できるようになり、友達と会えるようになってほしいものですね。

◆中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう): 1973年生まれ。ライター。一橋大学卒業後、博報堂入社。企業のPR業務などに携わり2001年に退社。その後は多くのニュースサイトにネットニュース編集者として関わり、2020年8月をもってセミリタイア。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『縁の切り方』(小学館新書)など。最新刊は『恥ずかしい人たち』(新潮新書)。

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