田代尚機のチャイナ・リサーチ

中国国債が世界国債指数に採用 3%超の利回りで資金流入は必至

中国の国債に注目が集まる理由とは(中国・江蘇省。Getty Images)

 中国の国債がグローバル市場で注目を集めている。世界大手の指数算出企業でイギリスに本社を置くFTSEラッセルは9月24日、世界の主要な国債の動きを示す指数(WGBI)に中国国債を組み入れると発表した。2021年3月に最終的な確認作業が行われ、2021年10月から組み入れが開始される見込みだ。

 世界には主要な債券指数が3つあり、この内、ブルームバーグ・バークレイズ指数とJPモルガン・チェース指数は既に組み入れ済みだ。今回残りの一つであるWGBIにも組み込まれる見込みとなり、中国の国債市場は名実ともにグローバル市場の仲間入りを果たすことになる。

 これによって中国の国債市場には多額の資金が流入することになるだろう。複数の本土マスコミ報道によれば、WGBIをベンチマークとして債券投資運用を行う機関投資家の運用総額は3指数の中では最大であり、2兆5000億ドル(262兆5000億円相当、1ドル=105円で換算、以下同様)に及ぶ。中国の国債が指数全体に占める時価総額比率は5~6%になるとみられ、そうだとすると今後18~24か月で1250億ドル(13兆1250億円)~1500億ドル(15兆7500億円)の資金が中国市場に流入することになる。

 国債市場の厚みが増せば、直接金融が充実する。財政、財務の面から、国家、企業の発展を支えることになる。中国にとって非常に有利なことであるが、グローバル投資家にとってもメリットは大きい。

 中国の国債の利回りは、欧米諸国と比べて充分高い。9月25日時点における中国の国債(10年、以下同じ)の利回り(終値、以下同じ)は3.127%であり、アメリカの0.656%を大きく上回っている。そのほか経済規模の大きな国と比較しても、日本は0.005%、イギリスは0.188%。ドイツに至っては▲0.526%、フランスは▲0.252%とマイナス金利に陥っており、中国国債の利回りの高さは突出している。

 G20の中では、インド、インドネシア、トルコ、ロシア、ブラジル、メキシコ、南アフリカなどの国債利回りは中国よりも高い。しかし、こうした国の経済、国家財政事情は厳しい。資金流出を防ぐための高金利といった面もあり、通貨安懸念が強いといった面がある。

 中国の景気は順調に回復しており、4-6月期の実質GDP成長率は3.2%であった。1-3月期と比べて10.0ポイント上昇するなど、世界各国がマイナス成長に沈む中、主要国では唯一プラス成長を確保している。OECD(経済協力開発機構)が9月16日に発表したエコノミックアウトルック中間報告によれば、2020年の中国の実質GDP成長率見通しは1.8%だ。6月時点の予想と比べれば4.4ポイント改善している。2021年の予想は8.0%であり、こちらは6月の予想より1.2ポイント高くなっている。

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