吉田みく「誰にだって言い分があります」

電子決済の怖さを知った男子学生が「小銭ジャラジャラマン」になるまで

キャッシュレスをやめた理由とは(イメージ)

「ドコモ口座」を通じて行われた預金不正引き出し事件の全国での被害額は、3000万円近くに達した(9月末時点)。現金を用いず手元のスマートフォンやパソコンで決済できる仕組みは確かに便利だが、その分、利用には細心の注意も必要となる。フリーライターの吉田みく氏が、「電子決済は怖い」と語る20代の大学生に話を聞いた。

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「ポイント還元につられて、色々な決済サービスに登録してしまいました」──千葉県在住の大学生、田中祐さん(仮名・21歳)は、キャッシュレス決済を利用し過ぎたことで、痛い思いをしたという。

 ここ数年、現金の代わりにクレジットカードやQRコードを用いるキャッシュレス決済(電子決済)の認知度が上がってきている。世界的にはすでに普及していることもあり、政府は昨年から今年にかけ「キャッシュレス・ポイント還元事業」を展開、日本でもキャッシュレス文化を根付かせようとしてきた。

 最近でも全国民を対象にした「マイナポイント事業」が9月に始まるなど、キャッシュレスはより身近な存在になろうとしている。経済産業省によると、昨年の全体の消費額に占めるキャッシュレス決済比率は26.8%だった。今年は新型コロナウイルスの影響もあり、キャッシュレスなら接触機会を減らせるとの期待から、利用率はさらに上がっていくだろう。

 そうしたなかユウさんは、事業者による顧客獲得のための還元キャンペーンを見つけるたびに、会員登録を行ったそうだ。確実に覚えているのは5社とのことだが、もしかしたら他にも登録しているかもしれないと話す。

「今思えば、銀行口座との紐づけを求められることが多かったです。でも会員登録する時はそんなのどうでも良くて、ポイントが貰えるほうが嬉しくて仕方がなかったです」(田中さん、以下同)

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