マクアケ（4479）：市場平均予想（単位：百万円）
企業概要
マクアケ（4479）は国内最大級のクラウドファンディングサービス「Makuake（マクアケ）」を運営する企業です。クラウドファンディングとは、「Crowd（群衆）」と「Funding（資金調達）」を組み合わせた造語で、新商品やサービスのプロジェクトを発表し、広く資金を集めることを言います。またその形態は「寄付型」「購入型」「融資型」「株式投資型」の4つに大別されます。
同社が手掛けるのは購入型で、応援購入のリターンとして、完成した製品や入場料、会員権といった形で応援者（サポーター）に返礼するタイプとなります。
注目ポイント
クラウドファンディングサイトを運営する企業として紹介される同社ですが、その実、クラウドファンディングを通じた企業のマーケティング支援を主な事業内容とする企業と言うべきかもしれません。特に最近はデジタルマーケティングへの関心が高まっており、その中でも量産前のリスクの低い段階でマーケティングや需要調査を行い、生産段階にフィードバックできる、クラウドファンディングの付加価値は高く評価されています。
同社ではこの量産前にクラウドファンディングサイトで新商品やサービスをデビューさせることを新商品オンラインデビュー市場と呼んでおり、その市場規模は現在の7400億円からわずか5年で1兆円になると見ています。またこのうち、最も売上が積み上がるとされる「デビュー後3か月程度」市場は、現在の数百億から数千億規模に拡大すると予想しています。
こうした市場成長を追い風に、ユーザー数・掲載開始数ともに増加が続いています。売上高はCAGR（年平均成長率）100％以上で成長しており、今期第3四半期はコロナによる企業のマーケティング活動のオンラインシフトや消費者のオンラインシフトを背景に売上利益ともに急拡大。
さらに通期計画についてはコロナの影響を加味したうえで上方修正を実施しました。下期は広告宣伝を強化するため利益面では伸びが一見鈍化しますが、好調なKPI推移により、利益成長路線は続く見通しです。中期成長戦略においても「増収増益」は基本とされているほど、同社の事業は好調です。今後は拠点拡大＋ユーザー基盤拡大＋オペレーションシステムの強化＋アフターMakuakeの強化によってさらなる事業規模拡大が見込まれます。
財務状況ですが、事業好調による利益積み上げにより、自己資本比率は48.3％、有利子負債ゼロ（今期中に借金は返済）、そして現金・現金同等物に総資産の9割にあたる48億円（前期末から5.2倍）保有するという盤石の内容となっています。また同社のBSは、サポーターからの応援購入金をプロジェクト掲載期日まで預り金（流動負債）として預かっており、この影響を除くと自己資本比率は80％に達し、流動比率は1.8倍⇒7.8倍まで上昇します。
株価ですが、好調な業績動向や、成長ポテンシャルの高さが評価されていると思われ、時価総額は上場から3倍以上にまで拡大しています。PERは300倍に達しており、過熱感は否めないところですが、これまで一貫して上昇を続けていることから、上値に重みは感じられないところです。
なお、同社は10月27日の引け後に2020年9月期通期の業績発表を予定しています。
【PROFILE】戸松信博（とまつ・のぶひろ）：1973年生まれ。グローバルリンクアドバイザーズ代表。鋭い市場分析と自ら現地訪問を頻繁に繰り返す銘柄分析スタイルが口コミで広がり、メルマガ購読者数は3万人以上に達する。最新の注目銘柄、相場見通しはメルマガ「日本株通信」にて配信中。
