田代尚機のチャイナ・リサーチ

トランプ大統領がアメリカ全土に広める「コロナ軽視」の行き着く先

選挙運動を通してトランプ氏のコロナに対する姿勢がアメリカ全土に広がる?(12日、フロリダ州での選挙集会。EPA=時事)

 新型コロナウイルスの危険性についてどう考えるべきか、各国で対応が異なっているようだ。アメリカではドナルド・トランプ大統領が10月1日、新型コロナに感染した。週単位で隔離が必要と予想されたが、5日には早くも退院、大統領執務に復帰している。

 6日には追加の経済対策について民主党との協議打ち切りを表明したが、9日には規模をそれまでの1.6兆ドルから1.8兆ドルに引き上げる案を認め、民主党に再提案している。いきなりフル稼働で仕事を再開している。

 10日には、ホワイトハウスで数百人の支持者を前にして演説を行った。喋る以上、当然、マスクは外している。この時点でトランプ大統領は、発病からわずか9日しか経っていない。20分弱の演説であったが、「バイデン氏は非科学的な都市封鎖を支持しており、経済を破壊しようとしている」といった主旨の批判を行った。

 感染防止対策の強度は景気に直結するだけに、投資家にとって大きな関心事だ。景気のことだけを考えれば、対策せずに済むならそれに越したことはないが、そうなると感染者が急増、多数の死者が出かねない。対策の最適な落ち着きどころはどこにあるのだろうか。

 中国は経済規模の大きな主要国では唯一、新型コロナを封じ込めることに成功した国家である。現在、中国が講じている対策について紹介しよう。

 北京市に住む複数の知り合いにヒアリングした限りでは、公衆の場ではマスクを着用する市民がほとんどだという。ただ、経済活動は新型コロナ流行前にほぼ戻っている。10月頭の大型連休「国慶節」の期間は、レストランはどこも満員で待ち行列ができていた。ちょっと前までは日本でもおなじみの透明なアクリル板製の仕切りが各席に取り付けられてあったが、現在は取り払われているケースが多いという。店内に入る前にアルコール消毒をするぐらいが、コロナ前と変わった点である。

“周りに誰も感染者がいないので、感染予防対策など必要ない”というのが、北京市に暮らす人々のコンセンサスとなっているようだ。

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