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配偶者居住権を使った相続税節税の裏ワザ 国税にとっては想定外か

本来は夫を亡くした妻の居住場所を守るためにできた制度だが…(イラスト/河南好美)

本来は夫を亡くした妻の居住場所を守るためにできた制度だが…(イラスト/河南好美)

 2018年の民法改正により、親族間の“争続”を防ぐことなどを目的とした新ルールが順次施行された。2020年4月にスタートした「配偶者居住権」もその一つ。しかし、使い方を間違えると“落とし穴”ある。『週刊ポストGOLD もめない相続』より、同制度のメリットと注意点を解説する。

「配偶者居住権」は、夫を亡くした配偶者が住み慣れた家に住み続けられる権利を与えられる制度だが、「うまく利用すれば節税のメリットがあると言われています」と語るのは、ACCESS税理士/不動産鑑定士事務所の植崎紳矢氏。

「たとえば6000万円の自宅を相続したとして、妻に3000万円の居住権を、子に3000万円の所有権を与えたケース。妻が亡くなり、子に二次相続する時に相続税は発生しません。つまり、配偶者居住権の3000万円部分をまるまる節税できるのです」

 配偶者居住権は権利期間を遺産分割協議や遺言で決められるが、一生涯の権利とすることが多い。このケースの場合は妻が亡くなった時に権利が消滅し、自宅は所有権者のものになる。その際、妻の3000万円分にかかる相続税はかからない。

 ただし配偶者居住権は本来、夫を亡くした妻の居住場所を守るためにできた制度。節税目的のために使うのは“裏ワザ”のようなもので、「注意が必要です」と前出の植崎氏が指摘する。

「配偶者居住権の節税効果について、国税にすると“想定外”だったようです。今後、ルールの見直しがないとは言い切れません」

 また、配偶者居住権の利用には制限がつくことを考慮しておきたい。

 そもそも配偶者には様々な相続の特例があり、1億6000万円まで適用される配偶者控除で一次相続の際に相続税を抑え、二次相続では子が小規模宅地等の特例を使うといった配偶者居住権を使わない節税方法もある。

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