中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

コロナ禍で「このままではヤバい!」と感じて転職した人々の大後悔

安易に会社を辞めなければよかった?(イメージ)

安易に会社を辞めなければよかった?(イメージ)

 コロナ禍の中、鉄道会社の将来性に不安を感じ、退社してプログラミングスクールに通ったツイッターユーザー「鉄道会社は辞めるな君」が1月上旬にツイッターで話題になった。同氏は〈授業料に80万消えて、SESにぶちこまれて年収も300万下がり、自由を失った。甘い言葉に乗せられて安定を捨てると人生終わる 絶対に辞めるな〉と同業者に呼びかけた。だが、コロナ禍で会社を辞めて後悔しているのは、彼だけではない。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が身近に見てきた実例を紹介する。

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 この方(鉄道会社は辞めるな君)の行動、理解はできるんです。何かの危機があると「ウチの会社(業界)、オワコンなんじゃないか?」と思ってしまうのは世の常。

 私は新卒で1997年に総合広告代理店に入ったのですが、周囲の社員の中には「“若者のテレビ離れ”もあり、近い将来に大手広告会社の基盤を支えているテレビCMの出稿量が減るのでは……。このままではオレらは終わる! ネット広告会社に転職しなくては人生が終わるのでは!」と考えて“泥船”から逃げ出した人もいました。

 しかし、なんだかんだいって2000年代前半でもテレビは広告の取扱高ではNo.1であり続けましたし、ネット広告が隆盛になると広告業界はしたたかにネット広告にも力を入れ、そこから収益を得られる体制を整えるようになりました。

 上で紹介した「鉄道会社は辞めるな君」は、「これからは人々が移動をしなくなるから鉄道会社はオワコンになるのでは……」と考えたと思われますが、本当に謙虚な方ですね。正直、私のようなフリーライター・編集者からすれば、鉄道会社なんて「盤石」です。しかも、600万円の年収があったということは、そこそこの大都市の大手なわけで、第3セクターが運営する赤字路線とは違うことが読み取れます。

 しかし、緊急事態宣言かのガラガラの車内を見て「オレらの会社、ヤバいかも……」と思うようになったのではないでしょうか。もう少しこの方に冷静になってもらいたかったのは「ある程度社会が落ち着いたら人は戻る」をなぜ理解できなかったのかという点です。

クライアントは独立を後押ししてくれていたが…

 ここでは、この方と同様に「コロナ禍のこのままではオレはヤバい!」と感じ、会社を辞めて後悔している2人の話を紹介しましょう。

 1人目は、人材派遣関連の仕事をしていたA氏(47)です。同氏は、人材派遣系の会社で営業をしていたのですが、次々と非正規雇用がクビを切られる様を見て「ウチの会社もヤバい……」と感じます。元々「雇用の調整弁」といった言われ方をされていた非正規雇用ですが、A氏はこの状況を見て「ウチの会社はもう終わりだ」というまでの絶望感を抱いたといいます。

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