田代尚機のチャイナ・リサーチ

中国の春節映画が記録的大ヒット、日本が舞台の映画が好調

 1作目はバンコク、2作目はニューヨークが舞台であったが、今回は東京が舞台である。前回に続き妻夫木聡が出演、主要キャスト4人の中の1人として重要な役割を演じている。そのほか長澤まさみ、浅野忠信、染谷将太、鈴木保奈美、三浦友和など、日本ではいずれも主役クラスの俳優たちが出演している。内容は喜劇&ミステリーだ。

 春節に公開された7本の映画内、『唐人街探案3』以外にも、日本と関連のある作品がある。

『待神令』はスマホゲーム『陰陽師』を映画化した作品。このゲームは網易モバイルゲーム社が自社開発したものだが、中世日本をモデルとしたロールプレイングゲームで、平安時代、安倍晴明が陰陽道を使って鬼退治するといったストーリーだ。また、『人潮ション涌』は日本映画『鍵泥棒のメソッド』の中国版リメイクである。

 中国当局は新型コロナウイルスの再流行を警戒し、春節期間中の帰省を制限する措置を打ち出した。これにより消費低迷が予想されたが、若者の消費意欲は旺盛であった。旅行関連は厳しかったが、映画を始め、外食、出前、EC取引を通じた消費などが活発となり、全体を通してみれば、消費の落ち込みは小さかったとみられる。

 中国は14億人の人口を持ち、中産階級人口は4億人を超えている。市場が巨大なのは映画に限らない。

 日本企業を見ても、ユニクロを展開するファーストリテイリングの株価が2月16日の時点でZARAを展開するインディテックス(スペイン)を超えてアパレル業界で世界トップに躍り出た。ファーストリテイリングの中国ビジネスは急拡大を続けている。ZARAも中国本土に店舗を持つが、ユニクロほど成功していない。中国ビジネスの差が株価の明暗を分けたと言えるだろう。

 アップルやテスラにしてもそうだが、巨大な中国市場にうまく対応できた企業が、真の勝ち組となっているようだ。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うフリーランスとして活動中。メルマガ「田代尚機のマスコミが伝えない中国経済、中国株」(https://foomii.com/00126/)、ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(https://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も展開中。

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