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「課題はやっている」と言うが… 予備校教師が明かす「受験に失敗する親子」の典型例

素直でまじめな“いい子”に見えるが…

素直でまじめな“いい子”に見えるが…(イラスト/ユキミ)

 受験というものは、受験生だけの力で成立するものではない。親の協力や理解、そして塾や予備校の助けも重要となってくる。しかし、なかには“絶対に結果が出ない”と言われてしまう親子もいるようだ。そこで、現役の予備校講師が匿名を条件に、成功しない親子の典型例を紹介する。

エピソード1「理解ある風の過保護親が子供の思考力を奪う」

 私は生徒の偏差値を見るよりまず、「なんのために受験をするのか──」という質問の答えに注目します。ここで「親に言われたから」「なんとなく将来に役立ちそう」といった意味の回答をする子は危ういですね。

 高校・大学受験で大切なのは、自立心が育っているかなんです。受験を「自分事」として、しっかり受け止めている子は、最初成績が悪くても、受験直前での追い上げが期待できるんです。われわれが「これは合格が難しいぞ」と思うのは、大人の言うことをよく聞く、素直でまじめな“いい子”。こういった子は、甘やかされて何不自由なく育ってきたか、あるいは高圧的な親の言いなりでしか生きてこられなかった場合が多い。つまり、闘争心や向上心がないんです。先日も、

「この間の英語の模試、かなり点数が落ちちゃったな。どうしてだと思う?」

 と質問しても、

「はあ……。でも、先生に言われた課題はちゃんとやっていますけど。たぶん、調子が悪かっただけだと思います」

 と、自分に何が足りないのかわかっていない生徒がいました。それなら、お母さんにハッパをかけてもらおうと連絡するものの、

「え? うちの子まじめに勉強していますよ。私も見張っていますから確かです。これ以上やらせてノイローゼになったら困るし、前向きなところは長所として伸ばしてやりたいんですよね」

 と、これまた親もわかっちゃいない。彼の場合は、前向きなんじゃなくて思考停止でしょ。言われたことだけやっていても本当に欲しいものは手に入らないって気づくのは、志望校に落ちてからなんだろうな。いや、もしかすると一生わからないかも。

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