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祖母のシモの世話をした13才時の体験から考える「ヤングケアラー問題」

中高生が家族の介護や育児を担うことの是非(イメージ)

中高生が家族の介護や育児を担うことの是非(イメージ)

 少子高齢化や晩婚、貧困などさまざまな要因により、近年「ヤングケアラー」と呼ばれる子どもたちが増えている。ヤングケアラーとは、病気や障害を抱えている家族や、要介護の家族、あるいは子供のケアや身の回りの世話を担う18才未満の若者のこと。ケアの責任のために学業を犠牲する子どももいるという。実際に13才の頃、介護と育児のWケアラーだったというのは、『女性セブン』の名物記者“オバ記者”こと野原広子さん(63才)。50年前の貴重な体験を語る。

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「ヤングケアラー? ったく、なんでもかんでもカタカナにすればいいってもんじゃないって」

 初めて耳にしたときはそう毒づいたけど、その実態を知って驚いた。全国の中学2年生の約17人に1人(5.7%)、高校2年生の約24人に1人(4.1%)が「世話をしている(ケアしている)家族がいる」と答えたというんだもの。ケアの内容は、食事・掃除・洗濯などの家事、保育園などへの送迎、障害や精神疾患のある家族の感情面のサポート、外出の付き添い、入浴・トイレの介助など多岐にわたるという。

 昭和のど真ん中、「子供は大事な家庭内労働力」という考えが当たり前の農村部で育った私にとって、子供が家事手伝いをするのはごく自然で当たり前なこと。でも、祖父母のシモの世話や乳飲み子の面倒をみている中高生がそこに含まれているとなると、もっと詳細な調査をして、福祉の手を差し伸べるべきだと思う。あ~あ、50年前にこの調査があったら、13才の私は記入することがたくさんあったのに。なんたって介護と育児のWケアラーだったんだもの。

 中学に入学する直前の同級生の話題は、新しく始まる部活のこと。テレビアニメ『アタックNo.1』が人気沸騰中で、私は畳の上を転がって回転レシーブのマネをしていた。すると、それを見た母ちゃんは、「バレーボールはさせられねぇど」と声を荒らげたんだわ。「ヒロコには家の手伝いをしてもらわないとなんねーから」と。

 家には早世した私の実父の母、つまり母ちゃんから見たら姑のオシマ婆さん(当時77才)と、2才になったばかりの弟がいる。私は働く母ちゃんに代わってオシマ婆さんに育てられ、甘えるだけ甘えた。

 そのオシマ婆さんが、家の裏の林から「ヒロコぉ~、ヒロコぉ~」と叫んでいる。声の方に行くと、着物のスソを腰までまくって、スッポンポンだ。トイレに行こうとして、どこにいるかわからなくなったという。間に合わなくなったオシマ婆さんは林の中にしゃがんだ。

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