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【日本株週間見通し】日経平均は急反発も今週は神経質な動き?

 また、米ヘッジファンド運営会社ブリッジウォーター・アソシエーツの創業者レイ・ダリオ氏が、保有するならば債券よりもビットコインを選ぶと述べたほか、アクティビスト(物言う投資家)で有名なカール・アイカーン氏は、暗号資産(仮想通貨)に「大々的に」関与することに興味があり、いずれ10億ドル余りを投じる可能性があることを明らかにした。暗号資産相場は今後も度々波乱に見舞われることとなろうが、こうした要人発言などもあり、目先は落ち着いた動きが続きそうだ。

 このように、直近の市場の波乱要因となっていたインフレ、長期金利、ビットコイン価格を巡る警戒感は一時後退したようだ。しかし、今週は、全米供給管理協会(ISM)が発表する製造業・非製造業の景況指数のほか、週末にかけては、米ADP雇用リポート、米雇用統計と重要な経済指標が予定されている。これらの結果次第では、再びFRBの金融政策方針を巡る思惑が高まり、インフレや長期金利が大きく動く可能性もある。結果を見極めたいとする様子見ムードから、指数はこう着感を強めそうだ。

 すでに4月の米消費者物価指数(CPI)などの結果から、インフレ傾向が強いことは相当に織り込んでいる。問題は、雇用統計だ。4月の雇用統計は市場予想を大きく下回る内容で、強い数値を見込んでいた予想を裏切り、大きなサプライズとなった。物価と雇用、特に後者を重視している今のFRBにとって、金融政策の方針変更を本格的に議論するための手掛かりとなるのは雇用統計によるところが大きい。

 前回の弱い数値の背景は、手厚い失業手当が失業者の労働市場への参加を妨げているなど、供給側の要因によるものだった。ただ、共和党が知事を務める州の多くでは、失業手当の延長を廃止する動きが出ている。また、週次新規失業保険申請件数もパンデミック以降の最低水準を更新し続けている。そのため、5月の雇用統計は改めて力強い労働市場の回復を示す結果となるかもしれない。

 そうなれば、7月のFOMCや、8月のジャクソンホール会合でのテーパリング(資産買い入れ額の減少)議論の開始が一層意識されることになる。今週末の雇用統計の結果が織り込まれるのは東京市場では翌週となるため、週を通じて雇用統計を前にした様子見ムードが強まりやすいだろう。むしろ、先週末にかけて大きく戻してきている分、イベント前の警戒感から改めて下に調整する余地の方が大きいかもしれない。

 そのほか、米ISM景況指数は製造業・非製造業ともに60ptを上回る強い数値が前月まで続いているが、仮に60ptや市場予想を大きく下回るようなことがあれば、景況感の改善はピークを打ったとの見方から、景気循環株を中心に利益確定売りに押されるシナリオも想定しておきたい。それでも、好不況の境である50ptを上回る傾向は当面続くと予想されるため、長期目線では過度な不安視は不要だろう。

 また、最近はテーパリング議論の開始に柔軟の姿勢をみせる高官らの発言があっても、期待インフレ率や長期金利などに動揺はみられていない。市場はテーパリングに対する耐性を徐々に織り込んでいるとも想定される。そのため、雇用統計の結果を受けて波乱があったとしても、長期的には押し目買いの好機になると考えたい。

 物色動向については、米国の重要経済指標を前にハイテク、グロース、景気循環まで含めて、多くが積極的には手掛けづらいだろう。一方、先週に相対的な強さが目立ったアフターコロナ関連の戻り基調に引き続き期待したい。国内でのワクチン接種率の遅れからこれまで上値の重かったテーマだが、その接種率の遅れというネガティブ要因は既に相当に織り込んだと思われる。むしろ、今後は、ワクチン接種スピードの加速を見込んだ買いが期待される。先週にはJAL<9201>、ANA<9202>、エイチ・アイ・エス<9603>、エアトリ<6191>、資生堂<4911>といった、旅行、レジャー、化粧品などの関連銘柄で堅調なものが多かった。

 今週は31日に4月鉱工業生産、中国5月製造業PMI、6月1日に5月新車販売台数、中国5月財新製造業PMI、米5月ISM製造業景況指数、2日に米地区連銀経済報告(ベージュブック)、3日に米5月ADP雇用リポート、米5月ISM非製造業景況指数、4日に4月家計調査、米5月雇用統計などが予定されている。

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