住まい・不動産

大泉学園が「本当に住みやすい街」2位で「住みたい街」圏外の謎

東映アニメーションと東映撮影所があり、駅の発車メロディは「銀河鉄道999」(大泉学園駅)

東映アニメーションと東映撮影所があり、駅の発車メロディは「銀河鉄道999」(大泉学園駅)

 住んでみたい街の理想と現実には、得てして大きな差があるものだ。憧れのあの街は果たして本当に素敵な街なのか? まったくノーマークだけど、実は住みやすい街は? 今回は「大泉学園」(東京都練馬区)について、ライターの金子則男氏が解説する。

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 SUUMOが毎年発表している「住みたい街ランキング」は、街の人気を知る1つの指標としておなじみですが、近年は同様に街をランキングする“新興勢力”が次々と登場しています。その1つが「本当に住みやすい街大賞」。昨年12月に発表された「本当に住みやすい街大賞 2021」(関東)では、1位の川口(埼玉県川口市)に続き、大泉学園が2位に選ばれました。

 このランキングは住宅ローン専門金融機関の「ARUHI」が発表しているもので、住宅ローンを利用している人が多い街が上位に入るのが大きな特徴。それゆえ、ベスト10に入った街も、「辻堂」(神奈川県藤沢市)、「有明テニスの森」(東京都江東区)、「小岩」(東京都江戸川区)、「千葉ニュータウン中央」(千葉県印西市)など、場所もタイプもまるでバラバラです。そうした中で、大泉学園は「住環境」が5点満点だったのを始め、「発展性」「交通の利便性」「コストパフォーマンス」「教育・文化環境」のすべての項目で高得点を叩き出し、2位にランクインしました。

 まず、基礎知識として押さえておきたいのは「大泉学園」という駅名。「学園」と付いていますが、大きな学校があるわけではありません。もともと西武鉄道は学園都市として開発を進める予定で、一橋大学などを招致する計画でしたが、これが頓挫。それでも「学園」という名前だけは残り、住所にも「大泉学園町」という名残が見られます。

 鉄道は西武池袋線のみ。ただ、様々な路線との乗り入れが行われており、東京メトロ有楽町線経由で飯田橋、永田町、有楽町、東京メトロ副都心線経由で新宿三丁目や渋谷、さらにその先の東急東横線の自由が丘や横浜までも乗換なしで移動できます。池袋までは15分前後。大きな街に出るときは、まず池袋になりそうですが、新宿(新宿三丁目)と渋谷も1本ですし、銀座(銀座一丁目)もダイレクトアクセスが可能で、どこにでも行きやすい場所です。

 バス路線も大変充実しています。西武新宿線やJR中央線の複数の駅へ行く路線が走っており、池袋線が止まった時は、そちら経由で都心に向かえます。吉祥寺駅前のバスロータリーでは「都民農園セコニック」という謎の行き先(?)の路線バスに遭遇しますが、その終点があるのは大泉学園。なお、降りても農園はありません。

 道路状況はやや微妙です。関越自動車道と外環道を繋ぐ大泉ジャンクションが至近距離で、高速を使っての遠出は大変便利。かつては「関越の大泉インター」といえば、都内の渋滞の代名詞のような場所で、猛烈に混むことで有名な場所でしたが、ETCの普及、外環道や圏央道の開通でだいぶマシになりました。一方、駅の周辺は基本的に片道1車線で、交通量は多く、常時ノロノロ運転。決して広くはない道は、各方面からやって来る路線バスがひっきりなしに通るため、歩行者は要注意ですし、運転に自信が無い人は怖いかもしれません。

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