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【日本株週間見通し】不透明要因くすぶる、イベント前で膠着か

 東証1部などの主力株については、上述したように決算シーズン本格化を前に様子見ムードが強いなかではあるが、足元の動きが総じて良くない。9日に発表された製造業決算の前哨戦にも当たる安川電機の決算は、実績および上方修正後の通期計画ともに市場予想を大幅に上回り、受注動向も含めて総じて良好な内容だった。しかし、株価は週明け12日こそは大きく上昇したものの、翌日から週末までは総じて冴えない動きとなり、結局、週初の上昇分をほとんど帳消しにしてしまった。あれだけの好内容でも株価の反応が冴えないとなると、今後の決算に対する期待値も上がりにくい。むろん、それがハードルを下げてくれることでポジティブな株価反応につながればよいが(その可能性は低いだろう)。

 もちろん、安川電機の冴えない株価反応については、東京五輪開催を目前にした新型コロナ感染再拡大やワクチン接種ペースの鈍化、今後の政局動向など、国内外部環境における不透明要素による部分が大きい。これらの要因を背景に海外勢が日本株を積極的に買ってこないがゆえに、買いが続かないとも考えられる。だとすれば、今後、ワクチン接種に再度弾みがつき、感染第5波も早期に収束できるのであれば、政権求心力も向上し、各種不透明要素の後退を通じて日本株に対する海外勢の見方も変わってくる可能性もあろう。ただし、それがあったとしても、4-6月期決算シーズンの7月下旬から8月中旬にかけて実現されるかについては時間的な問題から難しそうだ。そのため、安川電機のように、好決算でも発表直後は買いが続かないケースも想定され、見直し買いが入るまでには時間がかかる可能性も考慮しておいた方がよいだろう。

 そのほか、冴えないところとしては半導体関連株が挙げられる。14日、半導体業界の国際団体SEMIが、2022年の半導体製造装置の世界販売額の予測を、20年12月時点から3割超も引き上げたものの、相場への影響は限定的だった。また、TSMCの4-6月期決算では、純利益が市場予想を下回ったことや粗利率の悪化が嫌気され、日米ともに半導体関連株が大きく売られた。国内では、東京エレクトロン<8035>やアドバンテスト<6857>など代表的な銘柄のチャートを見ると、25日線や26週線を割り込むなど、右肩下がりのトレンドが続いている。

 しかし、半導体については年後半からの在庫調整などへの懸念があったが、今回の決算でTSMCは「年後半にかけてメーカーは在庫積み上げに動く」としたほか、「自動車やiPhone向けの半導体製造が年後半に増加する」と言及した。懸念要素が一部払拭されたこともあり、半導体関連株も、国内の不透明要素の後退による海外勢の動きや今後の決算次第では、調整局面からの持ち直しもありうるかもしれない。また、半導体関連のなかでもIoTなど産業向けも手掛けるルネサスエレクトロニクス<6723>や、電気自動車(EV)向けのパワー半導体を手掛ける富士電機<6504>などは底堅い動きを継続しており、関連株が軒並み売られているわけではない点にも留意したい。

 なお、今週は決算では、20日にディスコ<6146>、21日に日本電産<6594>、オービック<4684>、OBC<4733>、野村不HD<3231>などが、経済指標関連では19日に6月首都圏マンション発売、20日に6月全国消費者物価指数、米6月住宅着工件数、21日に日銀金融政策決定会合議事要旨(6月17・18日分)、6月貿易収支、22日にECB定例理事会、米6月中古住宅販売などが予定されている。

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