中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

身近に「路上販売」のある生活の幸せ 売り手にも買い手にも満足感

果物から野菜まで、路上販売が身近にある生活の幸せ

果物から野菜まで、路上販売が身近にある生活の幸せ

 地方都市に行くと、野菜や果物から現地の特産物まで、路上で様々なものを売っている人に遭遇する。都会ではあまり見られない光景だが、こうした「路上販売」が身近にある生活の良さについて、昨年11月に東京から佐賀県唐津市に移住したネットニュース編集者・中川淳一郎氏が考察する。

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 唐津に来てから路上販売が盛んなのにびっくりしました。唐津に家族で旅行に来た友人も、泊まっていたホテルのエントランス前で野菜や果物などの路上販売に遭遇したと言います。そのホテルでは定期的に「朝市」イベントを開催しているようです。

 実際、私がよく見かける路上販売はすごいと思うんですよ。まずは大量の野菜と果物をアーケードの下で売るお婆さんに遭遇し、その先にはヒジキを売るお婆さんがいる。さらにその先に行くと花を売る女性がいる。これが日常風景なのですが、季節によって売っているモノは変わります。初夏の頃は、ヒジキを売るお婆さんがウニも売っており、夏になると今度は梨を売るお婆さんが2人いる。

 どうも普段の様子を見ていると、こうした路上販売が、地元の人たちの「井戸端会議」の場所になっているようです。

 販売者の周りには、常連さんと思しき人たちを複数名見かけることが多いです。そして、最後には商品を購入する。翌日も販売者は同じ場所にいて、同じように談笑し、商品は次々と売れていく。朝通った時は大量の梨があったのに夕方にはほぼなくなっていたりもします。

 この梨売りお婆さんの場合は、大きくて形の良い梨はグラム単位で量って値段を決めていますが形が悪く小さいものは3つまとめて500円で売ってくれたりする。どちらがいいか迷うと「こっちの方がウマかよ」などと1つずつの方を勧めてきます。そして、重さを量ったうえで、「500円やけど半額の250円でよかよ」などと言って笑う。

 こんなやりとりを経験しているだけに、梨を食べた翌日に彼女と会うと自然と挨拶をするし「昨日はありがとね。うまかったと?」なんて聞かれたら「おいしかったです! 今日も買います!」となってしまうのです。

 多分、このお婆さんはこうして色々な人とコミュニケーションを取って梨を毎年売っているのでしょう。本当においしい梨です。

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