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孫正義氏の膨らむ志「10兆円じゃ全然足らん。俺は100兆円を動かす」

2021年10月9日 15:00 週刊ポスト

三木谷浩史氏と孫正義氏のこれまでの歩み
三木谷浩史氏と孫正義氏のこれまでの歩み

 孫の実家はずっと貧乏だったわけではない。病の癒えた父・三憲はパチンコ店などの事業で成功し、孫が帰国した頃には暮らしぶりはかなり裕福になっていた。だが三憲はそのことに満足していなかった。

『孫正義300年王国への野望』を書いた日本経済新聞の杉本貴司は、ある記事の中でこんなエピソードを明かしている。三憲は孫に、常々こう語っていた。

「俺はお前たちを食わせるために目先のゼニカネを稼ぐ仕事ばかりしとう。でも、そんなんは本当にやりたか事やなかけんね。いいか正義、お前は俺と違って、でっかい志ば立てて生きんといかんとよ」

 いつしか「事業家として大成功すること」が孫の志になり、その志は際限なく膨らんでいく。

 2017年9月2日、ヤフオクドーム(現ペイペイドーム)のVIPルームに父・三憲を招いた孫は、まじめな表情でこう言った。

「10兆円なんかじゃ全然足らん。俺は100兆円を動かすっと」

 孫がサウジアラビアの国営ファンドと組んでソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF、いわゆる10兆円ファンド)を立ち上げた直後のことだ。

 言葉通り、孫はSVF1号ファンドの10兆円を投資で使い切り、2号ファンドの投資に取りかかった。8月で64歳になった孫は、今も100兆円に向けて爆走している。

 100兆円といえば日本の国家予算に匹敵する金額である。中学生の時、国籍や人種に思い悩んで日本を飛び出した少年の「志」は止まるところを知らず、ついに国家をも凌駕しようとしている──。

「生まれと育ち」は全く異なる三木谷浩史と孫正義。だがこの二人が、古い大企業や中央官庁による支配で閉塞感が漂う今の日本に風穴を開ける「最後の海賊」であることに間違いはない。二人の激突で日本の携帯電話料金は劇的に下がった。だが、それは序章に過ぎない。

 二人がリタイアするであろう20年後、一方の海賊は「がんの制圧者」、他方は「戦後日本初の資本家」として歴史に名を刻んでいるかもしれない。

最後の海賊/完)

【プロフィール】
大西康之(おおにし・やすゆき)/1965年生まれ、愛知県出身。1988年早大法卒、日本経済新聞社入社。日本経済新聞編集委員、日経ビジネス編集委員などを経て2016年4月に独立。『ファースト・ペンギン 楽天・三木谷浩史の挑戦』(日本経済新聞)、『東芝 原子力敗戦』(文藝春秋)など著書多数。最新刊『起業の天才! 江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男』(東洋経済新報社)が第43回「講談社 本田靖春ノンフィクション賞」最終候補にノミネート。

※週刊ポスト2021年10月8日号

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