田代尚機のチャイナ・リサーチ

「オミクロン株は本当に脅威か」その判断が米中の株価に真逆に作用する

オミクロン株騒動が米国の金融正常化にどのような影響を与えるか(FRBのパウエル議長。Getty Images)

オミクロン株騒動が米国の金融正常化にどのような影響を与えるか(FRBのパウエル議長。Getty Images)

 オミクロン株騒動は、どこまで広がるのか。WHO(世界保健機関)は11月26日、南アフリカなどで拡大していた新型コロナウイルスの変異種をオミクロン株と命名、VOC(Variant of Concerned、警戒が必要な変異種の意)に指定した。これに各国は敏感に反応、南アフリカなどアフリカ南部からの入国制限を実施した。日本では11月30日より、海外からの入国制限を開始した。初動は早かったが、国土交通省は当初、邦人の帰国まで全面的に停止するよう航空各社に要請したため、混乱を招いた。いつもは慎重な日本政府も慌てている様子がうかがえた。

 韓国では12月4日、新規感染者数が5352人となり、過去最多を更新した。12月5日時点の韓国の100人あたりワクチン接種回数は167.39回で、中国、イギリスに次いで多い。にもかかわらず新規感染者数が増えているのだ。営業規制や集合規制を緩和するなどの“ウイズコロナ以降計画”が11月1日から行われていたが、12月3日から再び規制を強化している。

 ちなみに、現時点で韓国で流行しているのはオミクロン株ではなく、デルタ株だ。韓国は7日、オミクロン株の感染者が12人増え、36人になったと発表しており、今後の新規感染者数の推移が注視されている。

 それにしても、オミクロン株の感染力、毒性がどの程度なのか非常に気になるところである。その点について、欧州疾病予防管理センターは12月3日、オミクロン株の感染者が16カ国で109人であったと発表した。しかし、この時点で死者はいない。ほとんどの感染者が無症状ないし軽症である。これはEU内の統計データだが、アメリカでも「オミクロン株は感染力は強いが毒性はそれほど強くない可能性がある」とする研究結果が発表されている。

 一般に感染力の強いウイルスの毒性は高くない傾向があるようだ。また、一般のウイルスは、転移を繰り返すうちに毒性が弱くなる傾向もあるそうで、ひょっとするとオミクロン株の流行について、これほど大騒ぎする必要はないのかもしれない。

厳しい入国管理、防疫対策を続ける中国

 そうした中で、投資家はどのような行動を取るべきだろうか。仮に、オミクロン株の毒性は低く、従来型のインフルエンザと大差ないとすれば、現在の騒ぎは行き過ぎということになる。

 12月6日のNYダウは647ドル(1.9%)上昇し35227ドルで引けている。大きく戻してはいるが、11月8日の場中高値(過去最高値)からはまだ、3.7%安い水準にある。適度に経済活動へのストレスがあって金融正常化のペースが遅くなるようなことにでもなれば、再び高値更新の可能性も見えてくる。米国株はここが買い場だという判断をする投資家も出てくるだろう。

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