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ガソリン価格抑制の補助金 事業者や通勤者を対象にしないことへの疑問

2021年12月23日 15:00 週刊ポスト

ガソリン価格高騰は家計を直撃している(イメージ)
ガソリン価格高騰は家計を直撃している(イメージ)

 昨今の原油価格高騰は国内のガソリン価格にも大きく影響している。この事態に対応すべく岸田政権はガソリンなどの燃料価格高騰の抑制策などを打ち出したが、この施策に対し一部事業者からは批判の声も上がっているという。政府の対策はどこに問題があったのだろうか。経営コンサルタントの大前研一氏が解説する。

 * * *
 レギュラーガソリンの全国平均価格が1リットルあたり170円を超えたら、灯油や軽油、重油も対象に1リットルあたり最大5円を石油元売り各社に支給するそうだが、これは萩生田光一経済産業相が経済も産業も資本主義も理解していないことを露呈したと言える。石油・ガソリン関連の市場を歪めるだけでなく、元売り各社は上場企業なので株式市場も歪めてしまうからだ。

 ガソリンスタンドなどからも、真面目にコスト削減に努めて価格を抑えている業者がバカを見るとして反対の声が上がっている。補助するなら事業者や通勤者などを対象にすべきである。

 また、政府は米バイデン政権の要請に応じて石油の国家備蓄の一部を市場に放出し、一時的に供給量を増やすとともにガソリン価格抑制の補助金の財源を捻出するというが、備蓄分は産油国の埋蔵量から見れば雀の涙である。しかも、北半球はこれから冬になって暖房需要が高まるので、値上がり抑制効果があるとは思えない。オミクロンショックで原油価格が下がっているのは不幸中の幸いだ。

 さらに言えば、石油備蓄法が備蓄の放出を認めているのは供給が途絶する恐れがある紛争時や災害時に限られている。岸田首相は、目標量を満たしたまま古い石油を新しい石油に入れ替える際の売却時期を前倒しするという方法で余剰分を放出すれば「石油備蓄法に反しない形」としているが、それは“脱法”であり、教育上いかがなものか?

 法律を作る国会議員と法律を運用する政府が率先して“法律に違反しない形で法律の精神を骨抜きにする”というのは、警察が見ていなければ交通違反をしてもかまわない、と子供に教えるようなものである。

【プロフィール】
大前研一(おおまえ・けんいち)/1943年生まれ。マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社長、本社ディレクター等を経て、1994年退社。現在、ビジネス・ブレークスルー代表取締役会長、ビジネス・ブレークスルー大学学長などを務める。最新刊『日本の論点2022~23』(プレジデント社)。ほかに小学館新書『稼ぎ続ける力 「定年消滅」時代の新しい仕事論』等、著書多数。

※週刊ポスト2022年1月1・7日号

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