田代尚機のチャイナ・リサーチ

中国・浙江省が「共同富裕」促進のため打ち出した“破格の起業融資政策”

80%の世帯の可処分所得を引き上げる

 年間の予算枠はあるはずだから、だれでも手を挙げればすぐに起業支援が受けられるわけではないだろう。融資と投資の違いはあるが、かつての日本の人気番組『マネーの虎』を中国政府が主催しているような感がある(10万元までは返済不要である以上、投資と同様ともいえる)。

 知的レベルが高くかつ、意欲のある人物を集めようということだが、うまくいくかどうかのポイントは、どちらかというと目利きの側にある。政府の役人が審査をするのか、あるいは金融機関などと組んでやるのか、詳細は明らかにされていない。

 浙江省は、このような方法で経済を活性化させることで、2025年までに浙江省における80%の世帯の可処分所得を10万元(180万円)以上に引き上げるといった目標を設定している。

 日本では、岸田文雄首相が “新しい資本主義” を提唱しているが、その内容が今一つ具体的でないとする意見も多い。最低賃金を少し引き上げたところで、それは少しも新しい制作ではない。浙江省の取り組みをそのまま取り入れるぐらいの大胆さがあってもよいと思うのだが、どうだろうか。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うフリーランスとして活動。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(https://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も発信中。

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