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ホンダとソニーをつなぐ創業者の開拓精神とEV協業のその先

戦略的提携に関する記者会見でのソニーグループの吉田憲一郎・会長兼社長(左)とホンダの三部敏宏・社長(写真/EPA=時事)

戦略的提携に関する記者会見でのソニーグループの吉田憲一郎・会長兼社長(左)とホンダの三部敏宏・社長(写真/EPA=時事)

 井深の活動は、「日本パラリンピックの父」と呼ばれる医師・中村裕氏が別府市に設立した障害者自立のための施設「太陽の家」の活動が舞台となった。「障害者だからという特権なしの厳しさで、健常者の仕事よりも優れたものを」という信念をもつ井深は、1978年に障害者を雇用する「ソニー・太陽」(現在はソニー希望・光)を設立、本田も1981年に前述の「ホンダ太陽」を設立した。

 井深はこう書く。

〈太陽の家では、ホンダの熊本工場の仕事をするようになりましたが、その関係で、本田さんと熊本・大分とまわり、宿泊先で夜遅くまで話し込んだこともありました。(中略)私にとっては、かけがえのない“心の盟友”でした〉(著書)

 そして本田との交遊をこう振り返った。

〈そんなおつきあいが四十年間もつづいたのは、やはりそれぞれが目指すところというか、ちょっと大げさにいえば、その哲学・考え方に大きく共通するところがあったからでしょう〉(同)

EVの先、さらにその先

 その創業者2人の哲学が、70年近い時を経て今、ホンダとソニーのEV提携という形で結実しようとしている。

 ホンダ副社長を退職後、セガ社長などを歴任した前出の入交氏はこう見る。

「いいコンビネーションだと思う。次世代自動車といっても、走って曲がって止まる車がなくなるわけではない。ホンダにはその技術、ノウハウは豊富にあるが、ソニーは持っていない。一方でソニーには付加価値を生み出すノウハウがある。セガにいたとき、エンタテインメント会社としてのソニーは素晴らしいと思っていた。お互いの欠けている部分を補えば新たなことができる」

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