家計

コロナ禍で「調理食品」の需要増 共働きで収入増えても食費が増える本末転倒

コロナ前の20年とコロナ禍、食材ごとの食費の変化

コロナ前の20年とコロナ禍、食材ごとの食費の変化

 昨年から世界的な物流・生産の停滞や原油価格の上昇が続いているが、ロシアによるウクライナ侵攻が始まったことで、ガソリン代や光熱費、小麦や調味料、日用品にいたるまで、あらゆるものの値上げラッシュに拍車がかかり、家計を直撃している。コロナ禍で外食が減った反面、家で食べる機会が増えているため、家計の負担は決して軽くないだろう。はたして出費を減らすためにはどのような工夫ができるのだろうか。

 家計の見直し相談センター代表でファイナンシャルプランナーの藤川太氏は、「食費を見直しメリハリをつけることで、難局を乗り切る余地はある」と話す。

 総務省が公表する「家計調査」から働き盛りである「45~49才の勤労者世帯」の家計の変化をまとめ、食材ごとの食費の内訳について、コロナ前までの20年間(2000~2019年)の変化率と、2019年から2021年までのコロナ禍での変化率を算出し、藤川氏に分析してもらった(別表)。

 コロナ前の20年で大きく減っているのが、「魚介類」(49.4%減)、「野菜・海藻」(19.5%減)、穀類(19.0%減)、果物(33.4%減)といったところ。逆に、「肉類」は3.8%増、「調理食品」は5.8%増と増えていることが分かる。

 そして、コロナ前の2019年とコロナ禍の2021年を比較すると、「外食」が23.5%減となっている以外は、全ての項目で軒並み食費がアップ。なかでも目立つのが「肉類」の13.9%増、「調理食品」の11.8%増だ。そのほか、「酒類」はコロナ前の20年で25.7%減っていたが、コロナ禍では一転、21.9%増となっている。それだけ「宅飲み」が増えているようだ。藤川氏が指摘する。

「コロナ禍の所得の低下に対応しようと共働きが増えたことで、温めたりするだけで簡単に食べられる調理食品の需要が高まっています。家計調査でも、調理食品への出費が増えていることが見て取れました。確かに、具材そのものから調理するよりも手間をかけずに食べられることは良いことかもしれません。しかし、手軽さと引き換えに、当然ながら食費は高くならざるを得ません。昨年から続く食料の高騰で調理食品や肉類も値上げされているので、家計の負担は増えるばかりです。

 値上げラッシュの一方で、スーパーの店頭では野菜などは一部安く売られていることもありますし、魚介類は売れ残りやすく夕方以降値引きして売られることが多いはずです。プライベートブランドの商品の価格を値上げしないスーパーもあります。そうした安い食材を上手く利用してひと手間かけることが、食費の節約につながります」

 所得が上がらず共働きが増えるなか、料理に手間暇かけられないのもやむを得ないかもしれない。しかし、在宅勤務が浸透し生活時間に余裕が出たのであれば、どの食材にお金をかけているのか今一度見直し、時にはひと手間かける工夫を意識してみよう。自炊力を取り戻すことが、食品の値上げが相次ぐ今だからこそ必要なのかもしれない。

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