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永守重信氏の後継者問題で揺れる日本電産 注目される2人の息子への「世襲」

6月17日の株主総会で永守重信氏は何を語るか(写真/共同通信社)

6月17日の株主総会で永守重信氏は何を語るか(写真/共同通信社)

 今年も「株主総会」のシーズンがやってきた。経営に不安を抱える企業は株主からの厳しい質問に対応しなくてはならない。後継に指名した人物をわずか10か月で更迭した日本電産の“辞められないカリスマ”に対しては、どんな質問が飛ぶのか。【前後編の後編。前編から読む

 昨年の株主総会で、日本電産は経営の舵取りを担うCEOの椅子を永守重信会長(77)から関潤社長(61)に譲ることを発表。永守氏は、会長職として「工場を回ったり人材育成に取り組んだりしていきたい」などと語っていた。そんな永守氏が翻意したのは、今年の4月だった。決算発表の場で関氏のCEOの職を解き、自身が“復帰”すると語ったのだ。

 後継者候補と見られた人物が退任したのは4回目。関氏の退任が噂された段階で株価は大きく値を下げた。こうしたことからも「後継者問題」を深刻にとらえる投資家が一定数いることがうかがえる。

 ここ数年、「物言う株主(アクティビスト)」による経営の見直しや人事提案が日本の大企業の進む方向性を左右してきた。

 経営再建を目指す東芝では、6月28日の株主総会を前に買収による非上場化の提案が8件にのぼった。新たな取締役の候補には米国の投資ファンド関係者が入るなど、株主サイドの影響力が増している。

 小売り大手のセブン&アイ・ホールディングスも傘下で業績不振のそごう・西武の売却要求や、創業家の伊藤家の「祖業」であるイトーヨーカ堂にもメスを入れるよう求められている。5月26日の株主総会では井阪隆一社長が売却について質問され、「あらゆる選択肢を検討している」と回答する一幕もあった。

 株主が企業に対して透明性の高い統治を定めた「コーポレートガバナンスコード」の遵守を求める動きが世界的な潮流となっている。

 これは日本電産も例外ではない。同社の有価証券報告書の【事業等のリスク】の欄には2017年頃から、こんな文言が記載されるようになった。

〈永守氏の突然の離脱があった場合、NIDEC(日本電産)の事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります〉(2021年の有価証券報告書)

 これまではある意味、永守氏の「ワンマン経営」に期待する投資家が多かったが、その空気は変わってきているというのだ。

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