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永守重信氏の後継者問題で揺れる日本電産 注目される2人の息子への「世襲」

ヘッドハンディングされたが外された「後継者候補」たち

ヘッドハンディングされたが外された「後継者候補」たち

 経済評論家の有森隆氏は、「今年の株主総会はこれまでとは注目度が違う」と指摘する。

「まず永守氏が株主に対して何をどういうふうに説明するのか。永守氏がCEOに復帰しても株価は反応せず海外の機関投資家は現状に対して危機感を高めています。これまでの強気一辺倒では厳しいでしょう。

 CEO交代の真意やEV関連事業の展望、ご自身の健康面の不安が取り沙汰されていることについてどう考えているのかを含めて率直に話さなければ、幅広く支持を得るのは難しいのではないか。今年は『退任したほうがいい』といった過激な発言は出ないでしょうが、永守さんが言うところの3K(高収入、高成長、高株価)企業に回帰できなければ、来年の株主総会で“集中砲火”を浴びる可能性はゼロではない」

 実際に、これまでも同社の株主総会では投資家からたびたび後継者について問われる場面があったという。経済ジャーナリスト・森岡英樹氏は、こう話す。

「永守さんは株主に媚びない経営者として知られています。何年か前には、株主総会で(日本電産株の)空売りを仕掛けるアクティビストは許さない旨の発言をして騒がせたことがあった。今回の株主総会ですぐに退任を求められることはないとは思います。ただ、トップの首のすげ替えが重なりすぎたので機関投資家にも不安は広がっているはずです」

 日本電産の公式ホームページの大株主の状況(2021年9月30日)を見ると、筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行(11.12%)で、次は永守重信(8.29%)。妻が代表を務めるエスエヌ興産(3.39%)を含めると、事実上の筆頭株主は永守氏となる。

 ほかの大株主もメガバンクや大手生保などのため、安定性は高い。ただ、株主からの問いへの対応ぶりを投資家たちが注視しているのは間違いない。

長男も次男も「経営者」

 問題の解決に最も苦心しているのは他ならぬ永守氏自身だろう。後継者の候補になり得る人物はいるのか。経済ジャーナリスト・福田俊之氏は、こう予測する。

「永守氏が言うように、3年ほど経験を積んで関氏がカムバックするというのもないとは言えないが、一度見限った相手を重要ポストに再び登用するのかどうか。

 新たな後任候補として、昨年ソニーから役員を、今年に入ってから三菱商事の元常務を引き抜いたと言われています。この辺りが現状の“本命”でしょう。ただ、関氏をすぐに降格させてしまったので次の抜擢には慎重になるでしょうね」

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