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『キングダム』時代の秦を強国に押し上げた改革 民は税金から逃れるため次々と募兵に応じた

 映画『キングダム2』では信の同郷の男たちがお触れに応じて参集する場面があるが、多くの人が募兵に応じた理由はそこにあった。

 つまり、秦は意図的に人口過剰な状況を作り出すことで、新たな占領地が必要性との認識を国内の上下に周知徹底させた。対外戦争をしかけなければ、人口圧力に窮した民は不満の矛先を宮廷に向けるに違いない。それを避ける意味から、秦としては一時的な休戦は別として、拡大路線をやめるわけにはいかなかった。

 秦王・政は、在位期間が短く事績に乏しい祖父と父の時代の低迷と決別すべく、6代前の孝公の後を継いだ恵文王、武王、昭王らの路線を復活させ、天下統一へと邁進したのだった。

【プロフィール】
島崎晋(しまざき・すすむ)/1963年、東京生まれ。歴史作家。立教大学文学部史学科卒。旅行代理店勤務、歴史雑誌の編集を経て現在は作家として活動している。『ざんねんな日本史』(小学館新書)、『いっきにわかる! 世界史のミカタ』(辰巳出版)など著書多数。近著に『鎌倉殿と呪術 怨霊と怪異の幕府成立史』(ワニブックス)、最新刊に『ロシアの歴史 この大国は何を望んでいるのか?』(じっぴコンパクト新書)がある。

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