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発言を促しても無反応… 大学教員を困惑させる「いい子症候群」の大学生の実態

大学教員たちは普段接する大学生にどんな変化を感じているのか?(写真:イメージマート)

大学教員たちは普段接する大学生にどんな変化を感じているのか?(写真:イメージマート)

 今の学生たちの多くは、「いい子症候群」なのか──。金沢大学教授・金間大介氏の著書『先生、どうか皆の前でほめないで下さい いい子症候群の若者たち』(東洋経済新報社)が教育関係者たちの間で話題となっている。同書の中で、金間氏が指摘している若い世代の「いい子症候群」の特徴を、いくつかピックアップして見てみよう。

「周りと仲良くでき、協調性がある」「学校や職場などでは横並びが基本」「5人で順番を決めるときは3番目か4番目を狙う」「人の意見はよく聞くけど、自分の意見は言わない」「授業や会議では後方で気配を消し、集団と化す」「オンラインでも気配を消し、集団と化す」「自分を含むグループ全体に対する問いかけには反応しない」「一番嫌いな役割はリーダー」「特にやりたいことはない」──。

 こうした「いい子」たちの傾向は、実際に金間氏が大学で教鞭を取るなかで目の当たりにしてきたリアルな姿だという。同書のなかではさらに、「いい子」たちは自己肯定感が低く、「ほめられることが圧に感じる」こと、「匿名にしたとたんに意見を述べる」こと、「板書はちゃんとノートに写す、ここは大事だと言われれば下線を引く」といった受動的な面が描かれている。

 もちろん、「若者」を一つの世代として括り、その特性を断じる「若者論」は、しばしば若者を過度に戯画化した「俗流若者論」と批判されることもある。では、実際の大学に、金間氏が指摘するような「いい子症候群」の大学生たちはどれほどいるのだろうか。複数の大学教員に話を聞いて、今の大学生たちの実像に迫った。

“空回り感”との格闘で意気消沈

「私もこの本の存在を知り、すぐにネットで注文して読みました。冒頭から共感の嵐でしたね。ここ4、5年間くらいで学生の性質が変化してきた気がしていましたが、それをうまく言語化してくれた気がします。一番共感したのは、〈一言で言えば、活気がなく、リアクションが薄い。慣れていない人(かつ意欲のある人)が初めて教壇に立つと、激しい空回り感にめまいを覚えるかもしれない〉という箇所。

 この空回り感、という言葉が非常にしっくりきます。たとえばかつては学生に鉄板でウケていた内容も、最近ではまったく無反応になってしまった。『私語をしてはいけない』と一度注意をすると、今度は意見を求めた際にも無言のまま……。非常に反応と活気がないという印象です」(40代・関西私立大学教授)

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