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発言を促しても無反応… 大学教員を困惑させる「いい子症候群」の大学生の実態

対話する学生は減り、匿名でのクレームが増えたという(イメージ)

対話する学生は減り、匿名でのクレームが増えたという(イメージ)

対話による問題解決を避け、匿名でクレーム

「最近、つとに感じるようになったのは問題解決のための対話ができない学生の存在です。同書では『悪い報告はギリギリまでしない』という傾向が指摘されていましたが、僕が感じるのは『悪い報告はしない、教員への意見は匿名で事務を通してクレームする』ということ。

 かつて、学生は『先生! レポートが間に合いません、期限を延長してください!』『教室が寒いです』『もっとスライドを見やすくしてください、ここがわかりませんでした』などと、直接に教員に意見を言うのが一般的でした。しかし、ここ数年、教員に直接相談をせずに大学事務に相談したり、なかには匿名で教員にクレームを入れたりする学生が増えました」(40代・関西私立大学准教授)

 このように複数人の大学教員の話を聞いた限りでは、「いい子症候群」の事例には共感する面が多いようだ。

 ちなみに同書では「いい子症候群」の若者に向けて、いくつかの“処方箋”を提示している。そのうちの一つが「関係志向と報酬志向以外の学習の動機を見つけてみよう」というものだ。〈関係志向〉は他者につられて学習すること、そして〈報酬志向〉は報酬を得る手段として学習することを指す。

 この2つ以外に、〈充実志向〉=学習自体が楽しい、〈訓練志向〉=知力を鍛える、〈実用志向〉=仕事や生活に活かす、〈自尊志向〉=プライドや競争心から、という4つのモチベーションを挙げている。こうしたモチベーションを意識させることが、「いい子症候群」との接し方の一つの突破口になるかもしれない。

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