田代尚機のチャイナ・リサーチ

アメリカの半導体産業支援策に中国が猛反発「典型的な差別的産業保護政策だ」

かつての日本への規制強化との違いは

 米国はかつて、日本の台頭を抑えるために、数々の政策を打ち出してきた。

 1969~71年にかけて行われた日米繊維交渉では、日本は綿製品の対米輸出について厳しい自主規制を課せられた。1980年代に入ると、自動車でも輸出の自主規制を強要された。半導体産業では、1986年に日米半導体協定が結ばれ、その後、日本の輸出に関して高い関税がかけられたり、日本市場が閉鎖的だとして日本市場で米国の半導体シェアを引き上げるよう要求されたりした。

 輸出の自主規制に関しては、鉄鋼でも、カラーテレビでも、工作機械でも実施された。

 日本はその都度、米国の要求を飲んできたが、それで米国の製造業は回復したかといえばそうではない。

 バイデン政権は、日本と同じように、中国の成長を阻むことができればよいと考えているのかもしれない。しかし、米中間の経済規模格差は、当時の日米間と比べはるかに小さい。人口に至っては中国が米国の4倍強あり、潜在的な市場の大きさではとてもかなわない。その上、中国は米国の同盟国ではなく、日本のような防衛上の制約もない。中国は当時の日本と比べ、手強い相手である。

 自由な貿易を通じて経済を発展させ、国際社会の安定を保とうとする多くの国々にとって、両国の対立はマイナスに作用するのではないだろうか。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うフリーランスとして活動。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(https://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も発信中。

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