大学では一般的な講義とは別に、教員のもとに少人数の学生が集まり同じ研究テーマに取り組むゼミ(ゼミナール)がある。学生にとってゼミ選択のポイントは、研究テーマや教員にもよるだろうし、就職に有利か、単位が取りやすいかなど、実利的な側面から選ぶ学生もいるだろう。
以前は、ゼミの後に開催される飲み会や、集中的に研究に取り組むゼミ合宿を楽しみにしていたという学生も少なくなかった。ところが、そんなイメージは過去のものになりつつあるのかもしれない。現役大学生たちのなかには、ゼミを選ぶ際の基準として「飲み会がないゼミ」「合宿をしないゼミ」を挙げる人も多いようだ。いったいどういうことか、ゼミ選びを前にした現役大学生たちの本音を聞いた。
「仲良しごっこ」のゼミには入りたくない
今年の春、九州から東京に上京してきた男性・Aさん(18歳)は、現在、私立大学の経済学部の1年生だ。将来のゼミ選びについて、次のように考えていると話す。
「まず、ゼミ選定で最も重視するのは就職に有利かどうかです。先輩たちから噂も聞こえてくるのですが、どんなに課題が多い『ガチゼミ』であったとしても、僕は業界へのパイプを持っている先生や卒業生がいるゼミにしたいと思っています。
入りたくないゼミといえば、『仲良しごっこ』をしているゼミでしょうか(笑)。コロナ禍ということもありますが、今でも定期的に飲み会をしているゼミがあるらしく、自分はそういうゼミは嫌ですね。とくに飲み会を強要したり、飲み会に参加しないと教授と仲良くなれないようなゼミは絶対に嫌です。正直、上京して金銭的にも飲みに行っている余裕はないので、その辺りはドライな付き合いをしたいです」(Aさん)
関西の私立大学に通う男性・Bさん(19歳)も、将来のゼミ選びを前に憂鬱な心持ちだ。
「僕はよく友人と『そもそもゼミに入ることすら面倒くさいよね』という話をしています。うちの学部は3年生からゼミに入り、卒論を執筆しなければならない。他大学では『ゼミはマストではない』というところもあるようなので、本当にうらやましい。正直、すべてオンラインで良いと思っています。
なんでゼミに入るのが面倒かというと、高校のような固定的なクラス制度が強要されるのが嫌なんです。2年間も密な人間関係を築かないといけない。飲み会に行かないと友達に置いていかれそうだし、合宿で他県に行くには5万円以上はかかりますよね。みんなが参加しているのに、自分だけ行かないというのも悪目立ちしそうで嫌なんです……」(Bさん)