ライフ

途中離脱は当たり前? コンテンツ消費に疲れた人たちの「完走しない」という選択

漫画など数ページで読むのをやめてしまう人も(イメージ)

漫画など数ページで読むのをやめてしまう人も(イメージ)

その後の展開や結末はあとで知れば満足

 途中で離脱してしまうのは動画コンテンツだけではない。美容関係の会社に勤める20代女性・Bさんは、漫画を“頑張って”最後まで読まなくなったという。

「導入部分で、設定や世界観の説明なんかが長かったり、文字が多くてややこしそうだったりすると、数ページで読むのをやめてしまうことがよくあります。逆に、最初の数ページが面白そうだったら読みますが、途中で飽きることもしょっちゅう。設定や伏線みたいなものが難しいと、だんだん読むのが面倒になるんですよね(笑)。だいたい、最近の人気作品は長すぎます。だから、10巻ぐらいまで読んで放置してある作品が、いっぱいあります。時々、その後の展開や結末をSNSや友人経由で教えてもらえれば、それで満足。こんな感じだから、ネタバレも大歓迎です」(Bさん)

 Bさんは、音楽についても、アルバム全曲どころか1曲さえもフルで聴かないこともあるという。

「アルバムを全曲ちゃんと聴いたことも、ないんじゃないかな……。結局好きな曲ばかり聴いて、そのアルバムに何が入っているか、全然覚えていないです。好きな曲も、1曲フルで聴かなくても、自分が好きな部分が聴ければそれで満足。その部分が終わったら、次の曲にスキップすることもよくあります」(Bさん)

時間がもったいないから早めに“損切り”

 こうしてコンテンツを完走できなくなった人が増えている一方で、これまではなかなか完走できなかったのに、最後まで見るようになった人もいる。金融機関に勤める女性・Cさんだ。どんな心境の変化があったのだろうか。

「アニメにしろドラマにしろ、SNSやレビューで絶賛されている作品でも、私は1話で離脱することが多かったんです……。すぐに『つまんない』と切ってしまいがちでした。時間を損しないために、早めの“損切り”です。でも、友人や同僚からおすすめ作品を聞いたうえで、『ここまでは展開が遅いけど、ここから面白くなるから我慢して』という“保険”をつけてもらったら、最後まで頑張れる作品が増えました。

 私がこれまで、なかなか最後までたどり着けなかったのは、時間を無駄にしてしまうという過剰な恐れだったのかもしれません。結局、私の場合、『面白いものを見たい』じゃなくて、『面白いとわかっているものを、安心して見たい』んですよね。面白いと思えないものに割くヒマはないので」(Cさん)

 興味があるコンテンツにあふれる昨今。「見たいものが多すぎる」がゆえに「完走しない」という結論にたどり着いた人たちにも、それぞれの事情と楽しみ方があるようだ。(了)

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。