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名伯楽・エリザベス女王所有の競走馬が続々売却へ なぜ英王室は競馬に深く関わってきたのか

2021年のロイヤル・アスコット開催にて(Getty Images)

2021年のロイヤル・アスコット開催にて(Getty Images)

女王は勝率16%超の名伯楽

 熱心な競走馬オーナーとして名を馳せた女王が、競馬で稼いだ賞金はどれくらいになるのか。

 英国王室ウォッチャーのにしぐち瑞穂氏によると、女王の愛馬たちが過去31年間で獲得した賞金総額は776万8448ポンド(約13億円)にのぼる。イギリスとアイルランドでの出走回数3205のうち534のレースで賞金を獲得しているというから、その勝率は実に16.1%である(『25ans』2019年6月4日付「エリザベス女王、愛する馬たちが稼いだ賞金総額は!」)。

 日本の馬主でそれ以上の勝率を挙げている例が数少ないことから、女王が世界でも稀な名伯楽であったことがうかがえる。

 チャールズには母エリザベスほど競走馬への愛着はないようだが、それでも馬主を辞めることはないだろう。毎年6月の第3週に開かれる「ロイヤルアスコット開催(Royal Ascot Race Meeting)」は1711年以来の歴史を持つイギリス王室主催のレースだから、競馬から完全撤退することはありえないのだ。

 それにしても、王室がギャンブルのパトロンとは、いささか不似合いのように思えるが、実のところイギリスの場合、そうでなはい。

 松井良明著『近代スポーツの誕生』(講談社現代新書)によれば、イギリス王室とギャンブルとの関係は、何人かの王がアニマル・スポーツまたはブラッディ・スポーツと呼ばれるギャンブルを愛好し、庇護していたことに由来するという。

「アニマル」や「ブラッディ」の字面から想像できるだろうが、このギャンブルは鶏同士を闘わせる闘鶏、熊と複数の猟犬を闘わせる熊掛け、同じく牛掛けなどからなり、イギリスの宗教改革を主導したことで知られるヘンリー8世(在位1509〜1547年)は宮殿内に専用の闘鶏場を設けるほどの熱の入れようだった。

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